甲子園オートレース場

甲子園オートレース場：短命に終わったオートレース場の歴史

1953年3月、兵庫県西宮市に甲子園オートレース場が開設されました。これは、売り上げ不振や競馬場との馬場併用問題を抱えていた園田オートレース場の移転を目的としたものでした。甲子園競輪場に隣接するという立地条件から、競輪との相乗効果に期待が集まりました。

期待と挫折：短すぎる走路とダート路面の課題

しかし、甲子園オートレース場は、開設当初から困難に直面します。最大の要因は、競輪場のバンク内側に設けられた、わずか350メートルの短い専用走路でした。この短い走路は、オートレースの魅力である迫力を損ないました。1級車や2級車が走行できないため、レースに出走できるのは3級車や4級車に限られ、観客を惹きつけるほどの迫力あるレースが実現できなかったのです。

さらに、ダート路面が問題を引き起こしました。レース中の砂やオイルが競輪場のバンクに飛散し、バンクの状態を悪化させました。このことは、競輪関係者や選手からの強い反発を招き、競輪開催にも支障をきたす事態となりました。競輪選手たちは、オートレース開催日にはバンク練習が夕方以降にずれ込み、練習前に砂やゴミを掃除するなどの負担を強いられたと証言しています。

廃止への道：低迷する売り上げと関係者からの不満

低迷する売り上げと競輪場との摩擦は、甲子園オートレース場の存続を困難にしました。月6日間の開催にもかかわらず、売り上げは前身の園田オートレース場を下回るほど低迷。競輪との併設開催を試みましたが、状況は改善しませんでした。

結果として、兵庫県はオートレース場の運営を断念。当時の阪本勝知事が廃止の方針を決定し、開設からわずか2年後の1955年3月26日、甲子園オートレース場は閉鎖されました。

なお、オートレース人気向上策として、兵庫県所属の女子競輪選手をオートレースに出走させる構想もありました。鳴尾浜で練習する選手もいましたが、選手からの反対により実現しませんでした。

オートレース不毛の地：関西圏への進出の失敗

甲子園オートレース場の廃止とほぼ同時に、兵庫県小型自動車競走会も消滅しました。この失敗は、関西圏におけるオートレース進出計画の終焉を意味し、現在に至るまで関西圏にはオートレース場が存在しません。現在、関西圏ではオートレース場はありませんが、サテライト大阪などの場外車券売場でオートレースの車券を購入することができます。甲子園オートレース場の失敗は、関西におけるオートレースの歴史に暗い影を落としたと言えるでしょう。

参考資料

* 日本小型自動車振興会『オートレース三十年史』（1981年）

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