甲子士禍

甲子士禍（こうししか）

甲子士禍は、李氏朝鮮の10代国王である燕山君の独裁政権下で発生した重大な事件です。この事件は、燕山君が権力を維持するために実施した一連の粛清の一つであり、歴史的には政治的弾圧の象徴とされています。

1498年、燕山君は「戊午士禍」により士林派を一掃しました。この事件を契機に、彼は自らの権力を強化し、忠実な追従者たちを囲い込む体制を築きました。その結果、彼の治世は、無秩序で反社会的な行動が繰り返される、非常に困難な時期となりました。

財政の悪化に対応するために、燕山君は過重な税負担を市民に強い、官吏たちに対しても自らの意に従わない者を弾圧する政策を採りました。こうした状況は、朝鮮内外の関係者に変革を望む声を高め、燕山君の治政への不満を引き起こしていきました。

1503年になると、燕山君の行動はますます狂気に満ちたものとなりました。外戚層を中心とする宮中派と、権力の中央を握る府中派との間で激しい対立が生じていました。この状況を利用して、燕山君に取り入った側近たちが、彼の生母（廃妃）の賜死に関する情報を持ちこんできました。これをきっかけに燕山君は激怒し、この事件に関連する人物全てを一斉に捜査し、罰することを命じます。

以降の7ヶ月間にわたり、燕山君は徹底した粛清を行い、勲旧派や士林派を含む多数の重要人物が死刑や流刑に処されました。この中には、燕山君自身に対して多大な影響を及ぼした仁粹大王大妃や、勲旧派の巨頭である韓明澮も含まれています。特に、韓明澮は「剖棺斬屍」の厳罰を受け、無惨な最期を遂げました。

官僚たちの中での良識派とされる人々も、燕山君の独断的な行動に対して強い反発を示していました。これは、長い間続いていた王権と臣権の緊張関係の中で、新たな局面を迎える原因の一つとなりました。

最終的に、1506年には燕山君は宮廷クーデターによって王位を奪われ、江華島に流刑となり、そこで死亡しました。甲子士禍は、李氏朝鮮における権力の動態を大きく変える契機となり、その後の朝鮮王朝史における重要な転換点となっています。

関連項目

• - 戊午士禍

このように、甲子士禍は朝鮮王朝における政治史上の重要な出来事であり、その影響は今なお語り継がれています。

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