甲斐市民バス
甲斐市民バスは、
山梨県甲斐市が主体となって企画し、その実際の運行を
山梨交通に委託している地域内交通システムです。市民の移動手段を確保し、特に
公共交通機関が不足している地域や、自動車以外の移動手段を必要とする高齢者などの
交通弱者の利便性向上を目指しています。市内の主要な
鉄道駅(JR
竜王駅、
塩崎駅)をはじめ、市役所などの公共施設、大型商業施設、そして
医療機関などを結ぶ路線網を展開しています。
運行の経緯と概要
本バスは、まず
2010年度から
2012年度にかけての実証運行を経て、その効果やニーズを確認しました。この結果を踏まえ、
2013年度からは本格的な運行へと移行しました。運行ダイヤの設定にあたっては、JR
中央本線をはじめとする市内の
鉄道路線や、
山梨交通が運行する既存の一般
路線バスとの乗り継ぎの円滑化に配慮がなされています。市民への情報提供も行われており、甲斐市の公式ウェブサイトで
時刻表を確認できるほか、
NAVITIMEなどの情報サービスでも
時刻表検索や一般
路線バスとの乗り継ぎ検索が可能です。運行日は基本的に平日と祝日が含まれますが、
年末年始期間中は運休となります。
運行業務は
山梨交通が行っており、全6路線のうち1路線は敷島営業所が担当し、残りの5路線は甲斐営業所が担っています。かつて、甲斐営業所が担当する、いわゆる「ジャンボタクシー」車両を使用した路線は、
2018年10月1日に
山梨交通に吸収されるまで、山交タウンコーチ(当時は竜王営業所)が運行を受託していました。なお、現在の
山梨交通甲斐営業所は、敷島営業所の敷地内に併設されています。
甲斐市民バス応援事業
市民バスは、買い物のための移動手段としても広く利用されています。このような利用実態を踏まえ、市は地域経済との連携を深めるため、「甲斐市民バス応援事業」を推進しています。これは、自動車依存が進む市内において、公共交通の利用を促すとともに地域の商業活動を活性化させることを目的とした取り組みです。この事業には市内の複数の企業や商店が協賛しており、市民バスに乗車する際に運転手から受け取れる「サービス引換券」を協賛店で提示することで、特別なサービスや特典を受けることができます。2023年6月時点で5社の協賛を得ており、市はさらなる協力企業・店舗を募集しています。
主な協賛施設と提供されるサービス内容は以下の通りです。
ラザウォーク甲斐双葉: 税込3,000円以上の買い物で甲斐市民バス乗車券を贈呈(一部路線では利用不可)。
アマノパークス竜王店・敷島店: 税抜3,000円以上の買い物で「パークスたまご」10個入り1パックを贈呈。
イッツモア双葉SC・玉穂SC(いちやまマート): いちやまマートで税抜1,000円以上の買い物で「モアカード」100ポイントを贈呈。
オギノ双葉店・竜王駅前店・西八幡店・甲斐敷島店: 税込1,000円以上の買い物で、
グリーンスタンプカードポイント5倍を贈呈。
イオンモール甲府昭和: イオンクレジットカウンターにて、
イオンモールアプリのクーポン提示で日用品を贈呈。
運賃と各種乗車券
運賃は全路線均一料金制が採用されています。大人は1乗車につき200円です。小人(小学生以下)は、同伴する旅客1人につき2名まで無料で乗車できます。また、1歳以下の幼児は無料です。
割引制度も設けられており、各種
障害者手帳を提示することで
運賃が半額になります。さらに、運転免許証を自主的に返納した方も、運転経歴証明書を提示することで
運賃が半額となる割引が適用されます。甲斐市が交付する高齢者向けの
福祉乗車証「高齢者福祉バス利用券」も、本バスで利用可能です(これは
山梨交通の一般
路線バスでも利用できます)。
バス車内では、甲斐市民バス全路線で利用可能な専用の乗車券類を販売しています。
専用一日乗車券: 500円
専用回数乗車券: 2,000円(200円券が11枚綴り)
専用定期乗車券: 5,000円(1か月有効)
運行路線
甲斐市民バスの路線は、担当する
山梨交通の営業所によって以下の通りに分かれています。
敷島営業所担当路線
山梨大学医学部附属病院線:
主要経由地:
山梨交通敷島営業所 -
竜王駅南口 - 甲斐市役所竜王庁舎 -
イオンモール甲府昭和前 - 山梨大学医学部附属病院
運行日: 土曜日、日曜日、
年末年始は運休。
かつて「甲斐市
コミュニティバス」として運行されていた路線が、旧「市内巡回バス」と統合されて現在の名称となりました。
甲斐営業所担当路線(ジャンボタクシー使用)
これらの路線は、かつて山交タウンコーチ竜王営業所が運行を担っていました。敷島北部線の一部の系統を除き、祝日も運行しますが、
年末年始は全路線が運休します。
竜王 - 双葉線:
主要経由地:
竜王駅 - 甲斐市役所竜王庁舎 - ... -
ラザウォーク甲斐双葉
運行日: 水曜日と日曜日のみ運行。
敷島 - 双葉線:
主要経由地:
竜王駅 - ... -
ラザウォーク甲斐双葉(双葉地区経由と敷島地区経由の2系統あり)
運行日: 火曜日と土曜日のみ運行。
敷島北部線:
主要経由地:
平見城・下福沢方面:
竜王駅 - ... - 平見城公民館
大明神・安寺方面:
竜王駅 - ... - 大明神
清川 - 敷島仲町線: 清川 - ... - 敷島仲町
運行日: 平見城・下福沢/大明神・安寺方面は月・火・木・金運行。清川 - 敷島仲町線は月曜日から金曜日まで運行。
竜王駅南口から市北部集落へ向かう系統群です。
双葉北部線:
主要経由地:
ラザウォーク甲斐双葉 - 甲斐市役所双葉庁舎 - ... -
塩崎駅 - ... -
ラザウォーク甲斐双葉(
ラザウォーク甲斐双葉を起終点とする循環路線)
運行日: 月曜日と土曜日のみ運行。
使用車両
運行路線によって使用される車両のタイプが異なります。
敷島営業所が担当する「山梨大学医学部附属病院線」には小型バスが使用されます。かつては日産ディーゼル・RN(
京王電鉄バスや
西東京バスからの移籍車)が運用されていましたが、2021年度からは
国際興業バスからの移籍車両である
日野・リエッセ(車両番号C904, C905)に置き換えられました。これらのリエッセ車両には、甲斐市のマスコットキャラクター「やはたいぬ」のステッカーが貼られています。
一方、山交タウンコーチを経て現在の甲斐営業所が担当する路線には、
ワンボックスカーが「ジャンボタクシー車両」として使用されています。主に
トヨタ・ハイエースが用いられており、こちらも「やはたいぬ」のマグネットステッカーが貼られています。