甲斐銚子塚古墳

甲斐銚子塚古墳と丸山塚古墳の概要

甲斐銚子塚古墳（かい ちょうしづか こふん）は、山梨県甲府市下曽根町にある前方後円墳で、国の史跡にも指定されています。山梨県内では最大の古墳であり、4世紀後半の築造と考えられており、古墳時代の前期においては東日本で最大級の規模を誇ります。

「銚子塚」という名は、江戸時代の地誌に登場し、古墳の側面が柄の長い酒器である銚子に似ていることから名付けられました。甲府市の近隣には、笛吹市にある岡銚子塚古墳もあり、こちらは異なる名称で管理されています。

本稿では、甲斐銚子塚古墳とともに、隣接する丸山塚古墳についても述べます。

立地と context

甲府市下曽根町は甲府盆地の南東に位置し、笛吹川左岸に広がる曽根丘陵の北端に立地しています。この地方には多くの大型古墳が集中しており、甲斐銚子塚古墳は標高340メートルの東山台地に築かれています。

古墳は、標高260メートルの位置にあり、周囲には大丸山古墳や丸子塚古墳、かんかん塚古墳が散在する東山古墳群を形成しています。この地域に古墳が多く存在することは、当時の人々の社会的・文化的背景を反映していると言えるでしょう。

発見と調査の歴史

古墳に関する最初の記録は、江戸時代の『甲斐国志』に見られ、この文献により「銚子塚」の存在が確認されました。その後、古墳は信仰の対象ともなり、様々な調査が行われました。1933年の調査では、大型の前方後円墳であることが確認され、環濠や埴輪も見つかりました。

1928年には、伊勢講の祭りに関連して竪穴式石室と多数の副葬品が発見され、この際の研究は後に重要な文化的資料となりました。戦後も調査は続き、1966年には明治大学考古学研究室により測量が行われ、墳丘の大きさや概要が詳細に把握されました。

1985年には山梨県教育委員会による発掘調査が行われ、出土品が豊富であることが確認されています。1982年に設立された山梨県立考古博物館では、これらの貴重な資料が展示され、地域の歴史を知る上で重要な役割を果たしています。

発掘調査と出土遺物

甲斐銚子塚古墳から出土した遺物の中には、鏡や勾玉、鉄製の器具が含まれています。これらの出土品は、古墳の文化的背景を理解する上での手掛かりとなり、古墳時代の技術や信仰が色濃く反映されています。特に、三角縁神獣鏡はヤマト王権との繋がりを示唆し、この古墳が当時の政治的・文化的な中心であったことを示しています。

出土品の中には、水晶製の勾玉や鉄器、埴輪があり、祭祀に用いられたと考えられる物も多く含まれています。特に、埴輪は当時の祭祀や儀式の実情を知る上で重要な資料です。

丸山塚古墳について

甲斐銚子塚古墳の近くには、丸山塚古墳があります。こちらは直径約72メートルの円墳で、高さは11メートルです。墳丘は二段築成で、埴輪や周堀が整備されています。この古墳は1904年に発掘され、さまざまな副葬品が出土しました。このように、甲斐銚子塚古墳と丸山塚古墳は、双方とも地域の古墳文化を知る上で重要な存在です。

まとめ

甲斐銚子塚古墳と丸山塚古墳は、山梨県の古墳時代の遺産として貴重な資料であり、当時の社会や文化を理解するうえで欠かせない存在です。これらの古墳を通じて、古代日本の歴史と文化をより深く知ることができるのです。

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