申報館

申報館の歴史と影響

申報館（しんぽうかん）は、19世紀末から20世紀中頃にかけて中国上海で活動した著名な新聞社および出版社です。この会社は、1872年に創業され、中国の近代出版業界に多大な影響を与えました。注目すべきは、「申報」と「点石斎画報」を代表する多くの出版物であり、これらは国内外に広く流通しました。特に、上海の租界での発展は、当時の中国社会における文化的な交流の一端を担う存在でした。

創業と初期の展開

申報館は1872年4月30日に創刊した『申報』から始まりました。この新聞の創業者は、イギリス人商人アーネスト・メイジャーを中心とするグループであり、彼らは上海で数多くの商業活動を行っていました。メイジャー兄弟は上海に来てから一度は貿易事業を行っていましたが、様々な戦乱の影響でその事業は失敗し、アーネストは新聞の発行に目を向けることとなりました。

1878年には、石版印刷技術を導入し、点石斎石印書局を設立しました。この技術により、多彩な印刷物が可能となり、特に美しい絵が掲載された印刷物が数多く刊行されました。これにより、申報館は単なる新聞社から広範な出版機関へと成長を遂げました。商業印刷だけでなく、文化的な要因や情報交換も促進し、それまでの中国の情報の流れを大きく変えました。

繁栄の時代と政治的背景

1900年代初頭、申報館の発展は続きます。1899年には経営権が他の手に渡りますが、1912年に史量才が経営を担うと、申報は更なる発展を遂げました。彼の指揮の下で『申報』は黄金期を迎え、同時に他の新聞社との競争も激化しました。また、彼の後ろ盾となった杜月笙は、申報館における経営においても重要な役割を果たしました。

この時期、印刷技術の進化により、特に戦争の影響を強く受けた日中戦争では、申報は抗日活動を積極的に行い、様々な社会問題に対する言論の場を提供しました。しかし、その活動が目立つにつれて、日本軍からの弾圧も受けることとなり、史量才自身も1934年に暗殺されるなど、政治的な危機に直面しました。

終焉と遺産

国共内戦の中で、1949年に申報館は業務を停止しました。上海の旧申報館ビルはその後、解放日報社として利用されたり、2015年にリノベーションされ飲食店に生まれ変わったりするなど、新たな用途へと展開されています。

申報館が残した数々の出版物は、中国の新聞業界や出版業界に大きな影響を与え、その文化的遺産は今も評価されています。特に『申報』や『点石斎画報』などは、中国における近代印刷メディアの先駆けとして重要な位置を占めています。今後もその影響は現代のメディアにおいても受け継がれることでしょう。

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