申翼煕

申 翼熙（シン・イッキ）について

申翼熙（シン・イッキ、1894年7月11日 - 1956年5月5日）は、大韓民国の独立運動に多大な貢献をし、政治家としても重要な役割を果たした人物です。彼は平山申氏の出身で、号は「海公」と称されました。韓国の歴史の中で、初代および第2代国会議長としての経歴を持ち、国民大学校の設立にも関与しました。韓国民主党系の政党の初代党首としても活動し、その功績が記念されていますが、1956年に亡くなったため、21世紀の今においてはあまり知られていない存在となっています。

経歴

申翼熙は、京畿道の広州で生まれました。彼は1908年に漢城官立外国語学校を卒業後、早稲田大学の政治経済学部に留学しました。在学中には、韓国から来た留学生たちとともに学友会を結成し、機関紙『学之光』を発刊するなど、積極的に学生運動に関わりました。1913年に韓国に帰国後は、京城中東学校や普成法律商業学校で教鞭を執りながら教育に尽力しました。

また、彼は1918年の第一次世界大戦の終結に向けて、北京や上海を行き来しながら、崔麟や宋鎮禹などの独立運動家と連携を取り、独立運動の準備を進めました。1919年の三・一独立運動に直ちに参加し、その後、上海に亡命して大韓民国臨時政府の設立に尽力しました。臨時政府においては、初代内務次長としてスタートし、その後も内務総長、法務総長、文教部長、外務部長など様々な役割を果たしました。

1933年には南京で対日戦線統一同盟を結成し、続いて1937年には朝鮮民族戦線を創設、さらに1942年からは臨時政府の外交委員会副議長として外交活動にも力を注ぎました。解放後には、朝鮮人民共和国内閣の逓信部長に選任されましたが、金九などの臨時政府系統とは異なる路線を選び、李承晩との接近を図るなど政治的活動を続けました。

政治活動

1946年には大韓独立促成国民会の副委員長、国民大学校の初代学長、自由新聞社の社長など、多岐にわたる役職を歴任しました。また、米軍政下では南朝鮮過渡立法議院の議長に就任し、1947年には国会議長を務め、国政においても重要な地位を築きました。さらに、同年には池青天の大同青年団と協力して大韓国民党を結成し、その代表に選出されました。1948年の初代国会議員選挙では堂々と当選し、同年5月31日には大韓民国制憲国会副議長に就任しました。

その後、李承晩が大統領に選出されると、彼は議長に選出されますが、政党間の確執が深まったことから民主国民党（民国党）を結成し、その委員長となりました。また、1948年から1949年にかけては大韓サッカー協会の会長も務めました。

朝鮮戦争と死去

朝鮮戦争では、李承晩と共に非難される立場に立たされ、1945年の戦争勃発時には逃避的な行動をとったことで批判を受けました。1955年には民国党を中心に反李承晩勢力が結束し、新たに「民主党」を発足させ、その代表に就任します。1956年に行われた大統領選挙では民主党公認候補として名乗りを上げ、李承晩に迫る支持を集めましたが、選挙中の5月5日、全州へ向かう列車内で脳溢血により亡くなりました。享年61歳でした。

申翼熙の死後、1962年には大韓民国の建国功労勲章が授与され、彼の遺した功績が記憶されています。彼の息子である申河均も元国会議員であり、孫のキム・ユセンは著名な作詞家として知られています。申翼熙の生涯は、韓国の独立とその後の国政において重要な影響を与えたと評価されています。

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