韓国民主党

韓国民主党：保守と左派のあいだで揺れ動いた政党

韓国民主党は、大韓民国の建国期に大きな影響力を持った政党です。現在の与党である共に民主党とは歴史的につながりがありますが、その軌跡は複雑で、保守と左派の狭間を揺れ動いたと言えるでしょう。

米軍政下での台頭と李承晩との共存と対立

1945年9月、ソウルで結党された韓国民主党（韓民党）は、当初は民族主義と保守を掲げる勢力でした。財界の支援を受け、米軍政内部にも影響力を持つようになります。一方、朝鮮建国準備委員会のような左派・中道勢力とは対立関係にありました。

当初、大韓民国臨時政府との連携も図りましたが、親日派との結びつきが指摘されたことで、関係は次第に悪化します。国連による信託統治案への反対においても、臨政とは異なるアプローチを取りました。特に、左派との合作運動には強く反発し、次第に孤立を深めていきます。

そのような状況の中で、韓国民主党は李承晩に接近し、やがて李承晩を支える重要な役割を担うようになります。「独立促成中央協議会」の設立など、李承晩と連携して政界での主導権を握ります。

しかし、この李承晩との連合は長くは続きませんでした。1948年の制憲議会選挙では第3党に留まり、憲法制定や国務総理人事などで対立が激化します。韓民党が議院内閣制を希望したのに対し、李承晩は強大な大統領権限を主張しました。結果として、韓民党は野党に転落することになります。

野党への転落、そして再編

李承晩政権下では、韓民党は一貫して野党として活動しました。1949年には大韓国民党や大同青年団と統合し、民主国民党へと再編されますが、朝鮮戦争による経済的打撃や、李承晩による圧力で、主要な支持基盤であった湖南財閥を失います。

1955年には民主党と改称し、李承晩政権に対抗する勢力の中核を担います。1960年の四月革命で李承晩が失脚すると、第二共和国では与党となりますが、その後は再び複雑な政党再編を経て、現代韓国の政党政治における主要勢力の一つとして、その影響力を及ぼし続けています。

党勢と政策

韓国民主党は、当初は民族の独立、民主主義、勤労大衆の福祉向上などを掲げていました。具体的政策としては、国民生活の確保、互恵平等な外交、言論・出版の自由、教育機会の均等、重工業主義の経済政策、土地制度の改革などが挙げられます。

歴史的意義

韓国民主党は、大韓民国の建国期から現代まで、韓国政治に大きな影響を与え続けてきました。李承晩との複雑な関係、保守と左派のはざまでの揺れ動き、そして現代政党への複雑なつながりは、韓国現代史を理解する上で重要な要素となっています。現在、共に民主党は韓国民主党を直接の前身とはみなしていませんが、その歴史的つながりは無視できません。この政党の歴史を理解することは、現代韓国政治の複雑な構造を解き明かす鍵となるでしょう。

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