画像転送プロトコル

画像転送プロトコル（PTP）とは

画像転送プロトコル（PTP：Picture Transfer Protocol）は、国際映像産業協会（I3A）によって開発された、デジタルカメラなどの画像機器からコンピュータへ画像データを転送するためのプロトコルです。このプロトコルを使用することで、デバイスドライバを別途インストールすることなく、デジタルカメラをコンピュータに接続し、画像データを簡単に転送できるようになります。PTPは国際標準規格 ISO 15740 として標準化されています。

USBとPTP

USBインプリメンターズ・フォーラム（USB-IF）は、PTPをUSBデバイス用の「静止画像キャプチャデバイスクラス」として標準化しました。これにより、PTPをサポートする多くの機器がUSBをデフォルトの転送メディアとして利用しています。PTPは、従来のUSB大容量記憶装置クラスに代わるプロトコルとして、デジタルカメラとの接続に利用されています。

PTPの仕組み

PTPは、JPEGなどの画像ファイルの保存、転送、編集に関する仕様を定めています。PTPが扱う対象は、一般的にはコンピュータファイルと考えられますが、実際にはファイルは32ビットのオブジェクトIDによってのみ識別される抽象的な存在です。これらのオブジェクトは親オブジェクトを持つことができ、これによりデバイスのコンテンツを体系的に管理・表示することが可能になります。

PTPの拡張

PTPは、様々な拡張プロトコルによって機能が拡張されています。以下にその主な例を挙げます。

PTP/IP: FotoNationが開発し、Nikonが初めて実装したPTP/IPは、無線ネットワークを介したデータ転送を可能にします。
メディア転送プロトコル（MTP）: マイクロソフトが開発したMTPは、FotoNationのPTP/IPをベースに、無線または有線通信を介して画像データだけでなく、音楽や動画などの他のメディアファイルの転送も可能にします。また、MTPでは、タイトルやアーティスト情報などの拡張メタデータを利用したファイル管理も可能です。

PTPのサポート状況

マイクロソフトとAppleは、それぞれのオペレーティングシステムにPTPを組み込んでいます。マイクロソフトはWindows ME以降（Windows CEを除く）、AppleはMac OS X v10.1以降でPTPをサポートしています。マイクロソフトはPTPをWindows Image Acquisition (WIA) に実装しています。

Linuxや他のオープンソースOSでは、libgphoto、libptpなどのライブラリを通じてPTPが広くサポートされています。これらのライブラリは、digiKam、F-Spot、gtkam、gThumbなどの画像管理アプリケーションで利用されています。

関連技術

PictBridge: デジタルカメラからプリンターへ直接画像を印刷するための規格です。
ユニバーサル・シリアル・バス (USB): PTPが主に利用する転送メディアです。
メディア転送プロトコル (MTP): PTPをベースとした、より多機能なメディア転送プロトコルです。
カメラファイルシステム規格: デジタルカメラのファイル管理に関する規格です。

外部リンク

ISO 15740: PTPの国際標準規格。
Picture Transfer Protocol — PTP — Now an International Standard: 国際映像産業協会によるPTPの紹介ページ。
Microsoft and FotoNation Team to Support the Media Transfer Protocol For Wireless Digital Still Cameras: MicrosoftによるMTPに関するプレスリリース。
PTPをサポートする自由ソフトウェア:
PTPをサポートするソフトウェアに関する情報

もう一度検索