畑時能

畑時能（はた ときよし）

畑時能は、正安元年（1299年）に生まれ、興国2年/暦応4年（1341年）に没した、南北朝時代の南朝方の武将です。通称は六郎左衛門。畑胤時の次男として生まれ、母は久納養哲の娘とされています。子に時純、あるいは能速がいます。兄には時継がいました。

生涯

畑氏は、その出自について『姓氏家系大辞典』では秦氏、『苗字尽略解』では多治比氏とされ、諸説あります。武蔵国秩父郡を拠点に活動し、新田義貞の側近として各地を転戦しました。後世には、新田四天王の一人として数えられています。

延元3年/建武5年（1338年）に新田義貞が藤島の戦いで戦死すると、畑時能は義貞の弟である脇屋義助に従い、坂井郡の黒丸城、千手寺城、鷹巣城を転戦します。足利方の斯波高経との激戦を繰り広げましたが、最終的には鷲ヶ岳に16騎の郎党と共に立て籠もることになりました。

斯波高経は、平泉寺が再び南朝に味方したと誤解し、伊知地（現在の福井県勝山市伊知地）へ3千の軍勢を差し向けました。興国2年/暦応4年（1341年）10月22日、時能は斯波勢に突撃を敢行し、数時間に及ぶ激闘の末、肩口に矢を受けました。その傷がもとで3日後に亡くなったと伝えられています。

現在、この合戦があった場所は「伊知地古戦場」として、1981年（昭和56年）4月7日に勝山市指定史跡となりました。また、この地には「畑ヶ塚」が建てられています。

登場作品

小説

『子守りの殿』（南條範夫）

注釈

畑時能は新田義貞の側近として活躍し、新田四天王の一人に数えられるほどの武将だった。
鷲ヶ岳での戦いは非常に激しく、彼の最期は武士として壮絶であった。
伊知地古戦場は現在も史跡として保存されており、畑時能の功績を偲ぶことができる。

参考文献

『畑時能の古戦場を偲ぶ』（畑時能公遺徳顕彰会、1982年）
『妙心寺史』
『丹波志』
兵藤裕己校注（2015）「畑六郎左衛門事」「鷹巣城合戦の事」『太平記（四）巻23（西源院本）』岩波書店 pp.35-46

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