留辺蘂駅

留辺蘂駅：温根湯温泉への玄関口、そして歴史を刻む駅

北海道北見市留辺蘂町東町に位置する留辺蘂（るべしべ）駅は、北海道旅客鉄道（JR北海道）石北本線に属する駅です。特急「オホーツク」「大雪」、特別快速「きたみ」を含む全旅客列車が停車する、同市を代表する駅であり、人気の観光地である温根湯温泉へのアクセス拠点として重要な役割を担っています。

歴史：木材の町から観光の町へ

留辺蘂駅の起源は1912年（大正元年）に遡ります。湧別軽便線の終着駅として開業した当時は、軌間1,067mmの路線でした。その後、1914年には軽便規格（軌間762mm）への延伸、1916年には1,067mmへの改軌など、幾度かの改修を経て現在の姿へと発展しました。

当初は木材の積み出しが主要な目的だったこの駅は、温根湯森林鉄道（最盛期には72.9キロに達した）の開通（1921年）により、さらに発展を遂げます。しかし、1960年には温根湯森林鉄道が廃止。その後も、貨物取扱いの廃止（1984年）、荷物取扱いの廃止（1985年）、そして2016年にはみどりの窓口の廃止と無人駅化（簡易委託）と、時代の変遷を肌で感じてきました。

昭和天皇・香淳皇后のお召し列車が停車した（1954年）という歴史的エピソードも残されています。駅名の由来はアイヌ語の「ルペシペ」（越え下っていく道）で、2023年4月1日には北海道留萌市の留萌駅の廃止により、日本で唯一の「る」から始まる駅名となりました。

駅構造：木材輸送の遺産と現代の機能

留辺蘂駅は、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線の、計2面3線を有する地上駅です。駅舎は北側に位置し、南側には出入り口がありません。駅舎側の単式ホームは島式ホームに接続しており、バリアフリー対応のスロープも設置されています。駅舎と島式ホームは跨線橋で結ばれ、ログハウス風の待合室も備えています。

現在の駅舎の構造は、木材出荷が盛んだった時代の名残を色濃く反映しており、当初は島式ホームのみが旅客用のホームとして使用されていました。後の増設によって、現在のような構造になったと考えられています。2016年までは駅員が配置されていましたが、現在は簡易委託駅となり、近隣の呉服店が週1回、事前予約による乗車券販売を行っています。

アクセスと周辺環境

留辺蘂駅周辺には、北見市役所留辺蘂総合支所、留辺蘂郵便局、北見信用金庫留辺蘂支店、JAきたみらい留辺蘂支所など、生活に必要な施設が充実しています。また、北海道道307号留辺蘂停車場線、北海道道103号留辺蘂浜佐呂間線といった道路網も整備され、アクセスも良好です。

バス路線も充実しており、北海道北見バスによる北見方面、温根湯方面への路線のほか、サンライズ号（旭川駅前行）なども運行されています。2022年には、駅向かいにあった北海道北見バス留辺蘂案内所が窓口営業を終了しましたが、無人待合室として利用できます。

まとめ：歴史と自然が織りなす駅

留辺蘂駅は、木材輸送の盛んな時代から観光地への玄関口へと、その役割を変えながら、北海道の北部に位置する歴史ある駅です。温根湯温泉へのアクセスはもちろんのこと、駅周辺の環境や歴史的背景も含めて、魅力あふれる場所となっています。

もう一度検索