畢衆敬

畢衆敬（ひつ しゅうけい、生年不詳 - 491年）は、中国の南北朝時代に活躍した武人であり、東平郡須昌県を本貫とする。彼の幼少期は騎射や狩猟を楽しむ一方、国境付近で盗賊として生活していたことが知られている。

元嘉25年（448年）、宋の武陵王である劉駿が徐兗二州の刺史に就任すると、畢衆敬は彼に召集されて部従事の職に就くこととなった。劉駿が孝武帝として即位すると、畢衆敬は泰山郡太守や冗従僕射などの要職を歴任し、政治の中枢での権限を持つようになった。

泰始元年（465年）、湘東王である劉彧が前廃帝・劉子業を排除し、玉座に就くと、彼は畢衆敬に兗州にて募兵を行うよう命じた。畢衆敬は彭城に到着し、徐州刺史である薛安都から晋安王・劉子勛を擁立する計画を持ちかけられ、これに同意。彼は劉子勛と連携し、兗州の軍事を司る立場となる。

続く泰始2年（466年）、明帝の命により兗州刺史の殷孝祖が2000名の兵を率いて建康へ向かうと、畢衆敬は軍を指揮し瑕丘を占拠し、留守を任されていた劉文石を排除。さらに、薛安都の指令により、殷孝祖の子息たちを暗殺するなど、彼の権力拡張を図った。兗州内では、東平郡太守である申纂を除き、ほとんどの者が彼に従属した。

明帝が劉子勛を排除すると、申纂は兗州刺史に任命され、畢衆敬は自身の家族に対して危機感を抱き、報復行動に出る。墓が荒らされたことで、遺族に対する復讐を行い、その後も北魏の動向を注視していた。

しかし、北魏の尉元が軍を率いて南下すると、畢衆敬は瑕丘城で降伏を余儀なくされる。降伏後、彼は後悔し、数日間絶食。皇興元年（467年）には再び散騎常侍・寧南将軍・兗州刺史に任じられ、東平公の称号を得るが、権力闘争の中で影響を持つ立場を維持する。

北魏の慕容白曜が無塩を攻撃した際、畢衆敬は自らの利害から申纂の暗殺を図り、実行に移させる。その後、彼は朝廷に入朝し、再度兗州刺史に任ぜられる。

最終的に、畢衆敬は太和15年（491年）10月にこの世を去る。彼の生涯は、武力と政治的策略を駆使しながら権力を掴み取る姿勢を示しており、南北朝時代の歴史において重要な役割を果たした。彼の伝記は、『魏書』や『北史』に記載されており、その業績は後世に語り継がれている。

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