略式手続

略式手続についての詳細

略式手続（りゃくしきてつづき）は、公判なしに行われる簡略な形態の刑事裁判の手続きである。この手続きにおいては、検察官が簡易裁判所に対して行う「略式起訴」が行われ、裁判所から発せられる命令を「略式命令」と呼ぶ。日本の刑事訴訟法に基づいており、主に第6編に関連する規定が存在する。

略式手続の条件

略式手続は、以下の条件を満たす場合に適用される。
1. 事件の管轄: 簡易裁判所に属する事件であることが必要。
2. 罰金の限度額: 100万円以下の罰金または科料が科される事件でなければならない。
3. 被疑者の異議: 被疑者が略式手続に異議を唱えないこと。

この2番目の条件に関しては、過去の法律改正により、施行当初の5000円から、段階的に金額が引き上げられた経緯がある。具体的には、

• - 昭和24年2月の時点で5万円へ。
• - 昭和47年には20万円に変更。
• - 平成3年には50万円、そして平成18年に100万円に設定された。

略式手続の請求方法

検察官が略式命令を請求する際は、関係する簡易裁判所に公訴提起と同時に書面を提出しなければならない。この際、実務上は起訴状に略式命令の請求を記載することで済む場合が多い。

検察官は、被疑者に対して、略式手続きの内容を理解させるための説明を行い、通常の手続きに応じて審判を受ける権利を伝えた上で、略式手続きへの同意を確認する必要がある。被疑者が異議を唱えない場合には、書面でその意向を表明する必要がある。

略式命令の内容

簡易裁判所は、検察官からの請求に基づき、略式命令を出すことができる。この命令では公判前に百万円以下の罰金または科料が科され、刑の執行猶予や没収、その他の付随する処分も行える。

略式命令には、以下の情報が示されなければならない：

• - 不当とされる事実
• - 適用法令
• - 科されるべき刑及びその他の処分
• - 略式命令告知日から14日以内の正式裁判請求の権利について

正式裁判の請求

略式命令を受けた当事者または検察官は、その通知を受けた日から14日以内に正式な裁判を請求する権利がある。請求は当該命令を行った簡易裁判所に対して書面で行い、裁判所は速やかにその旨を通知する義務がある。この請求は、第一審の判決が下されるまで取り下げることが可能である。

さらに、事件が複雑で単純な書面審理では真実解明が難しい場合や、罰金以外の刑が相当であると判断された場合には、通常の裁判を行う必要がある。

略式命令の効力

略式命令は、正式裁判の請求期間終了後、確定判決と同等の効力を持つ。正式裁判の請求を取り下げた場合や、請求が棄却された場合も同様である。一方、正式裁判の請求により判決が行われた場合は、略式命令の効力は失われる。

関連項目

略式手続に関連する項目としては、迅速な裁判、即決裁判手続、交通事件における即決裁判手続や、検察審査会、司法取引などが挙げられる。これらは、刑事訴訟におけるスピードと効率を追求する重要な要素である。

このように、略式手続は刑事訴訟法に基づく重要な手続きであり、法的な枠組みを通じて、迅速かつ効率的な裁判の実現を図っている。

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