登米町

登米町：歴史と自然が織りなす宮城の町

宮城県北東部に位置していた登米町（とよままち）は、2005年4月1日の合併により登米市（とめし）の一部となりました。古くから宮城県北部の中心地として栄え、「みやぎの明治村」というキャッチフレーズで知られる、歴史と自然豊かな町でした。

由来と名称

町の名称の由来は、古くは『続日本紀』に「遠山村」として記載されていることに遡ります。その後「登米村」と呼ばれるようになり、「遠山」が「とよま」の語源と考えられています。興味深いことに、「とよま」の原音はアイヌ語の「トイオマ（食べられる土のあるところ）」であるという説があり、町内からはアルカリ性の白い岩石が多く発掘されています。これはアイヌの人々が食用としていた可能性を示唆しています。明治時代の郡区町村編制において、読み方の簡略化から郡名は「とめ」、町名は「とよま」と使い分けられるようになりました。現在の登米市も「とめ」ですが、旧登米町の地域は「とよま」の読み方が残されています。

地理

登米町は、北上川が町の中央を流れ、東側には北上山地、西側には広大な田園地帯が広がる、自然豊かな地域でした。狐ヶ森や草飼山などの山々、そして北上川という恵まれた地理的条件は、人々の生活と歴史に深く関わってきました。

歴史

登米郡の歴史は奈良時代まで遡ります。1869年には涌谷県が登米県となり、県庁が置かれました。その後、一関県、水沢県を経て、1872年には水沢県の県庁が登米に移転するなど、重要な行政の中心地として発展しました。1873年には寺池村、日野渡村、小島村、日根牛村の4ヶ村が合併して登米村となり、1879年に日根牛村が分離。1889年4月1日の市町村制施行により、登米村と日根牛村が合併し、登米町が誕生しました。1921年には仙北鉄道が開通、1945年には北上川に北上大橋が架かり、交通網の整備が進みました。しかし、1968年には仙北鉄道登米線が廃止されました。そして、2005年4月1日、登米郡内の他の町や本吉郡津山町と合併して、現在の登米市となりました。

行政・教育

最後の町長は中澤弘氏（2000年3月～2005年3月）でした。教育機関としては、宮城県登米高等学校、登米町立登米中学校、登米町立登米小学校などがありました。

交通

町内には鉄道路線はありませんでしたが、最寄りの駅はJR東日本気仙沼線柳津駅でした。かつては仙北鉄道が通っており、登米駅もありました。バス路線としては、仙台とを結ぶ高速バスが運行されていました。道路網は国道342号や、多くの都道府県道が整備され、周辺地域とのアクセスが確保されていました。

観光

「みやぎの明治村」をキャッチコピーに、多くの観光客が訪れていました。年間20万人を超える観光客が訪れる、登米市を代表する観光地区でした。教育資料館（旧登米高等尋常小学校校舎）、警察資料館（旧登米警察署庁舎）、水沢県庁記念館（旧水沢県庁庁舎）などの歴史的建造物や、登米懐古館、伝統芸能伝承館森舞台、武家屋敷 春蘭亭、登米歴史民俗資料館、蔵の資料館など、多くの観光資源がありました。

食文化

郷土料理として「はっと」「油麩」「油麩丼」「鰻」などが有名でした。その他、仙台味噌、醤油、ササニシキ、太白飴なども地元の特産品でした。

祭り・イベント

絵のまち巡り、みやぎ北上連邦とよま凧あげ大会、とよま茶会、登米芭蕉祭俳句大会、かっぱ市、とよま明治村夏まつり、とよま薪能、登米秋まつり、みやぎ北上連邦カッパハーフマラソンなど、様々なイベントが開催され、地域を盛り上げていました。また、仙台藩で定められていた「八景」にならって、「登米八景」も選定されていました。

まとめ

登米町は、長い歴史と豊かな自然、そして独自の文化を持つ町でした。2005年の合併によって登米市の一部となりましたが、その歴史と文化は、現在も登米市に受け継がれ、人々の生活に息づいています。 登米町の歴史を知ることは、登米市の理解を深めることにも繋がります。

もう一度検索