白仁燁

白仁燁（ペク・イニョプ）について

白仁燁（ペク・イニョプ、백인엽）は、1923年2月18日に日本統治下の朝鮮半島、平安南道江西郡に生まれました。彼の家族は裕福な中規模地主として知られていましたが、父が亡くなると家庭は困窮し、母と子供たちは平壌へ移住しました。白仁燁には姉と兄がいて、兄は後に軍人や企業人として知られる白善燁でした。家計の安定を図るため、母と姉は働きながら子どもたちの教育の道を支えました。

大人になった白仁燁は、平壌中学を卒業後、父が卒業した明治大学経済学部に進学します。その後、学徒出陣を経験し、陸軍少尉として航空兵科に配属されました。終戦後は、兄と共に民族派指導者の曺晩植の下で働き始めますが、現政権に対する圧力を感じ、共に南下することを決意しました。

韓国軍でのキャリア

彼は韓国軍の前身である南朝鮮国防警備隊に入隊し、1946年には軍事英語学校を卒業しています。軍のキャリアが始まると、彼は第1連隊や第4連隊に勤務した後、1948年には陸軍内に創設された航空部隊の初代部隊長に就任しました。経歴上の先輩の存在感に圧倒され、部隊長職を辞退しますが、その後も第12連隊の副連隊長などを歴任し、1950年からは第17連隊の連隊長として指揮を執ります。

朝鮮戦争の開戦時、彼は第17連隊を率いて甕津半島での防御戦に従事しました。彼の判断により、連隊は敵の動向を的確に把握し、陸軍本部に逐次報告して警戒態勢を強化しました。1950年6月25日、北朝鮮軍による攻撃が開始され、彼は激しい肉弾戦に巻き込まれました。この戦闘で連隊は多くの困難に直面しながらも奮闘し、結果的に撤退命令が下されました。白仁燁は、自決を試みながらも部下に説得され、海上に脱出し、友軍の駆潜艇に救助されます。

その後、彼は韓国軍の重要な戦闘に参加し、仁川上陸作戦では再び第17連隊を指揮し、ソウルの奪還に貢献します。功績を称えられ、彼は多くの勲章を授与されました。

戦後の人生

1953年、白仁燁はアメリカへ留学し、その後も韓国軍でのキャリアを積み重ねていきました。1954年には第9師団長に就任し、1960年には不正蓄財の疑いで予備役に編入され、3年間投獄されることになりました。以後、彼は善仁財団を設立し、教育事業にも尽力します。2013年には老衰により他界し、家族葬が行われました。彼の功績は韓国の軍史に刻まれ、教育者としての活動も評価されています。

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