白山丸 (1940年)

白山丸の歴史

白山丸（はくさんまる）は、日本海汽船に属する貨客船で、その進水は1940年、竣工は1941年に行われました。この船は特に太平洋戦争中に重要な役割を果たし、民間船として運航されただけでなく、日米間の人道物資交換にも利用されました。戦後は引揚者の輸送にも携わり、その歴史の中で多くの重要な出来事に関与しました。

船の建造と進水

白山丸は、元々北日本汽船から提出された「月山丸」型の貨客船で、1939年に浦賀船渠で起工されました。建造の過程で、日本海汽船へ現物出資され、進水は1940年の8月、竣工は1941年の8月に行われました。船名は、白山比咩神社に由来し、当時の船体デザインは上部構造物の流線形を追求したものに改良され、乗客定員も増加しました。

白山丸は、戦略的重要性を持つ日本海横断航路、新潟港・清津・羅津間の定期航路に就航しました。1941年には、同型船の気比丸が沈没した後、敦賀港発の路線に移動し、その航海を続けます。戦争が始まると、白山丸は軍による徴用を受けず、民間船としての運航を維持しました。

戦時中の任務と人道的取り組み

1943年には海軍指定船として位置づけられ、その後半には日本本土への大豆の輸送が主な任務となります。また1944年からは日米間の協定に基づいて、捕虜や強制収容されていた日系人向けに人道的物資を交換するための特殊任務にも従事しました。特に1944年10月には、白山丸が日本側の物資をソ連領であるナホトカに輸送し、アメリカ側の物資との交換を行いました。これにより「白山丸」は国際的な人道活動にも貢献したことが評価されています。

終戦後の活動と事件

終戦後、白山丸は引揚輸送に重要な役割を果たします。GHQの管理下で、SCAJAP-H005及びSCAJAP-H052の重複する管理番号を与えられた白山丸は、中国大陸からの引揚輸送に従事します。1947年に新潟・小樽港間の定期航路が開設された際、第一便として運航に参加しました。

1953年には、満州に残留していた日本人の引揚に関与し、その最初の引揚船として活動しました。1958年には、舞鶴港での引揚航海中に密航が発覚し、これが「白山丸事件」として刑事訴訟法上の重要判決を引き起こしました。また、シベリア抑留者の帰国輸送にも関与し、一連の活動を通じて歴史的な意義を持つ船舶としての地位を確立しました。

結末とその後

白山丸は1961年に東洋郵船に売却され、インドネシア方面での運航が決まりましたが、1965年には広島県の松永湾で解体されました。このように、白山丸はその長い船歴においてさまざまな歴史的な事件に関与し、単なる輸送船以上の存在となりました。引揚者の送還や国際的な人道支援においても重要な役割を果たしたこの船は、日本の海運史の中で特別な位置を占めています。

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