白山前駅

白山前駅（新潟交通電車線）

白山前駅は、かつて新潟県新潟市（現・中央区）一番堀通町に位置していた、新潟交通電車線の停留所でした。1933年（昭和8年）の軌道線区間開業から1992年（平成4年）の同区間廃止まで、同線の起点として重要な役割を果たしていました。

概要

新潟電鉄線の軌道区間開通に伴い、県庁前駅として開業しました。駅舎は新潟県庁舎の南側、白山公園の東側に位置する道路の中州部分に設けられていました。当初は駅舎の西側にホーム1線が設けられましたが、将来的に東中通・柾谷小路・萬代橋を経由して新潟駅前まで延伸する計画がありました。それに伴い駅舎北側にもホームを増設する予定でしたが、延伸計画は実現せず、1958年（昭和33年）に免許が失効しました。そのため、ホーム増設も行われることなく、開業から廃止までホーム1本の単線駅でした。

1985年（昭和60年）には、新潟県庁舎の移転に伴い、駅名を白山神社・白山公園にちなんで「白山前」に改称しました。同時に、駅周辺のバス停留所も「県庁前」から「白山前」に改称されました。しかし、電車線の利用者は年々減少し、白山前駅は新潟駅や古町、万代シテイといった市内中心部の主要施設や繁華街からやや距離があったため、アクセスには路線バスへの乗り換えが必要となり、利用者の減少に拍車をかけました。さらに、当駅 - 東関屋駅間の路面区間は狭隘な道路を経由しており、沿線住民から振動や騒音に対する苦情が寄せられていたことから、路面電車の区間は1992年（平成4年）に廃止されました。廃止後は東関屋駅と新潟駅の間に連絡バスが運行され、この措置は1999年（平成11年）の全線廃止まで続けられました。

県庁本庁舎跡には1989年（平成元年）に新潟市役所本庁舎本館が新築移転し、それに伴って駅舎周辺のバス停は「市役所前」に改称されましたが、電車線の駅名は駅名板を「白山前（新潟市役所前）」という併記の形にするに留め、「白山前」のまま改称されることはありませんでした。

歴史

1933年（昭和8年）7月28日 - 県庁前 - 東関屋間の延伸開業に伴い、新潟電鉄の県庁前駅として開業。
1934年（昭和9年）8月1日 - 貨物営業開始。
1943年（昭和18年）12月31日 - 新潟交通の発足に伴い同社の駅となる。
1958年（昭和33年）10月23日 - 県庁前 - 新潟駅前間の軌道特許が失効。
1964年（昭和39年）6月16日 - 新潟地震により鉄道線と軌道線が一時運休。
1982年（昭和57年）7月 - 貨物営業廃止。
1985年（昭和60年）6月1日 - 県庁の移転に伴い白山前駅に改称。
1992年（平成4年）
3月20日 - 白山前 - 東関屋間運行休止。代替バスが運行。
3月31日 - 廃止。
7月1日 - 駅舎にてビヤホール開店、9月1日まで。
1994年（平成6年）12月12日 - 駅跡に「ポケットパーク」完成。

駅構造

地上駅で、駅舎西側に面して単式ホーム1面1線を設けていました。

駅施設

駅には以下の施設がありました。

出札窓口
券売機
改札口（駅舎内に乗車口、歩道橋側に降車口）
待合室
トイレ
売店
菓子店（パン店）
喫茶店
立ち食いそば店（待合室内）
新潟交通電車部事務所

駅舎を跨ぐ形で新潟地方裁判所 - 白山公園間に歩道橋が設けられていました。また、駅舎北側にはバス停留所があり、複数の路線が発着していました。

停留場周辺

国道116号（東中通）
新潟県道164号白山停車場女池線（一番堀通）
新潟市役所
白山公園
白山神社
新潟地方裁判所
* 新潟大学医学部・歯学部、医学部付属病院・歯学部付属病院（現・医歯学総合病院）

廃止後の状況

駅舎は三方を車道に囲まれた三角地に位置していたため、周辺の交差点構造は非常に複雑でした。廃止後、駅舎は撤去され、跡地は道路配置の見直しと大規模な改修が行われました。交差点は集約され、道路交通の整流化が図られました。

駅舎と道路の跡地は新潟県と新潟市によってポケットパークとして整備され、「一番堀広場」（通称名「白山前駅跡地ポケットパーク」）と名付けられました。ポケットパークには噴水、公衆トイレ、水路などが設けられ、1994年度の「緑のデザイン賞」で建設大臣賞を受賞しました。

ポケットパーク横にはバス停が設けられましたが、2015年9月5日のダイヤ改正でバス停は休止となり、市役所分館横のバスロータリー周辺へ移設されました。なお、萬代橋ラインの新潟駅前 - 市役所前間は、実現には至らなかった軌道線の中心部延伸計画の区間と同一の経路を経由しています。

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