白河 (洛外)

白河の歴史と文化

白河（しらかわ）は、かつて京都洛外に位置していた地域で、山城国愛宕郡に属していました。元々は白川の南側のみを指していましたが、次第に北側も含まれるようになり、南白河（下白河）や北白河として呼ばれるようになりました。現在、この地域は京都市左京区に属しており、南白河や北白河はそれぞれ岡崎や北白川として分けられています。

地域の概要

白河は白川流域の一部であり、現在の左京区岡崎を中心に、北は北白川、東は東山、南は岡崎または粟田口、西は鴨川に囲まれたエリアとされています。この地域には、白川が形成した扇状地に縄文時代の住居跡が発見されており、有史以前から人々が暮らしていたことが窺えます。

過去の白河とその重要性

平安時代初期の白河は、鳥辺野と共に葬送地として利用され、また粟田口は逢坂関への重要な入口でありました。この地を通じて平安京から近江国を経て東国へ向かう道が整備され、白川上流の山中越も交通路の一部として重要視されていました。

藤原良房が白河に別業である白河殿を建設したことを契機に、その後も別荘や寺院が次々と建てられました。特に藤原道長は白河殿での観桜の宴など、季節ごとの行事を行い、白河殿は歴代天皇に受け継がれ、さらに法勝寺などが建立されました。これらの寺院は「六勝寺」と称され、白河天皇の在位中には多くの寺院が建立されました。このように、白河は平安時代における政治と文化の中心地となっていきました。

鎌倉時代以降の変遷

鎌倉時代に入ると、白河の中心地は「岡崎」と呼ばれ、後鳥羽上皇が岡崎に御所を造営した際に「岡崎御所」と呼ばれます。当時、岡崎地区は住宅地化が進み、白川の北部も徐々に範囲に含まれるようになりました。また、この時期には南禅寺が建設され、白河地区は更なる発展を遂げました。

室町時代になると、南白河では「岡崎」という名称が一般化し、白河という名称は主に北白川を指すようになっていきました。しかし、応仁の乱の影響で岡崎は戦場となり、白川地区も戦乱に巻き込まれました。これにより、この地域は一時的に荒廃しましたが、北白川では水車を利用した精米作業や、「白川女」と呼ばれる花の行商が盛況を呈しました。これらの活動は、地域の経済に貢献し、商業の発展を促進しました。

近代の白河

江戸時代には北白川のみで「白川村」が形成され、明治時代に入ってもその名を引き継ぎました。一方、岡崎は明治21年に京都市上京区に編入され、明治29年には平安神宮が設立されるなど、京都市中心部との一体化が進行しました。さらに、明治30年に京都帝国大学理学部が設置され、北白川も学生街の要素を持ち始めました。その後、白川村は大正7年に京都市上京区に編入され、昭和4年の区の再編に際し、岡崎や北白川は左京区に所属することとなりました。

白河夜船の故事

白河には「白河夜船」という言葉があり、この言葉は京都へ旅行すると嘘をつく人が、白河にまつわる質問を受けた際に、自分はその川を船で通ったことがあると答えることから生まれました。この逸話は、熟睡して前後を知らない状態を指す言葉としても使われています。川柳の「白河を夜舟で渡る高いびき」に由来し、吉本ばなながこの題名で小説を発表し、映画化もされています。

白河はその深い歴史と独自の文化を持った魅力的な地域であり、多くの人々にとって興味を引く場所となっています。

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