逢坂関

逢坂関について

逢坂関（おうさかのせき）は、かつて山城国と近江国の境界に位置していた重要な関所です。別名として相坂関、合坂関、会坂関などもあります。この関所は、東海道と東山道（後の中山道）の交差地点となり、交通の要として重要な役割を果たしました。平安時代初期からは、三関として不破関、鈴鹿関と並んで言及されていますが、当初は愛発関がその一つでした。

位置

現在では逢坂関の正確な位置は不明ですが、滋賀県大津市の長安寺周辺が有力視されています。『更級日記』や『石山寺縁起絵巻』にはそれに関連する記述が見られます。1930年には大津市立逢坂小学校の敷地に「逢坂関址碑」が建立され、さらに1932年には国道1号線沿いに「逢坂山関址」という記念碑が建てられました。2009年4月には、「逢坂の関記念公園」が整備され、ここには旧東海道に設置された車石も現存しており、歴史の面影を残しています。

歴史

逢坂関は大化2年（646年）に初めて設置され、その後、延暦14年（795年）には一度廃止されましたが、平安遷都に際し、再度成立しました。特に斉衡4年（857年）には関所が復興され、後に関所の役割だけでなく、旅人の休憩所としても重要でした。『蜻蛉日記』には、天禄元年（970年）に藤原道綱母が逢坂越を通過した際の記録が残されています。

鎌倉時代以降も逢坂関は重要な地点として機能しましたが、南北朝時代には園城寺によって関銭が徴収されるようになりました。貞治6年（1367年）に南禅寺所轄の関が破壊された後、逢坂関も焼失しましたが、後に再設されました。室町時代には、さらに新たな関所も設けられたため、逢坂関は一時的に廃止されることもありました。

文学への登場

逢坂関は平安京の東の入り口に相当し、都を離れる旅人たちの送別の場としてよく詠まれました。百人一首にも関連する歌が見られ、和歌の中で近江の代表的な歌枕として位置づけられています。また、『枕草子』の中でも名のある関所として挙げられています。上方落語でも「走り井餅」が関連するエピソードが残るなど、文化的な意義も持っています。

蝉丸について

蝉丸は逢坂関に関連した伝説的人物で、「盲目の琵琶の名手」として知られています。著名な歌「これやこの～」には「ゆきかふ人を見て」という詞書きがある一方、その視覚の状態については真相が謎に包まれています。彼に関する記録には多くの異説があり、逢坂の関の周辺には彼を祀る神社も存在します。蝉丸は関の守護神としての役割を果たしていたと考えられていますが、その実態は多くの謎を秘めています。

結論

逢坂関は、その位置や歴史的役割、文学との関わりを通じて、古代日本の交通と文化の重要な一端を示しています。今も残るその痕跡や伝説は、多くの人々に歴史の深さや文化の豊かさを伝え続けています。

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