白石和紙

白石和紙の魅力と歴史

白石和紙（しろいしわし）は、日本の宮城県白石市で作られる伝統的な和紙です。この和紙は、江戸時代から地元の特産品として知られ、明治時代まで盛んに生産されてきました。今日では、市内の白石和紙工房によってのみ製造されていますが、その強度と耐久性の高さから、紙子や紙布など多様な用途に利用されています。

原料と製造技術

白石和紙の主な原料は楮（こうぞ）ですが、実際にはコウゾとカジノキの2種が伝統的に使用されています。特に白石和紙では、虎斑（とらふ）と呼ばれるカジノキの雌株が用いられています。このカジノキの長くて柔らかい繊維が、紙に優れた強度と耐久性を与えているのです。たとえば、東大寺の修二会（お水取り）で使用される紙衣は、1973年から白石和紙が使用されており、その耐久性が高く評価されています。

江戸時代には、白石を含む刈田郡全体で楮の生産、紙漉き、加工が行われており、白石和紙は「白石三白」の一つとして地元の特産として名声を博しました。この三白には、白石和紙の他にも白石温麺や白石葛が含まれています。明治時代に入ると、洋紙との価格競争が激化し、一工房のみの生産となりました。

白石和紙の歴史

平安時代には陸奥紙が京都の貴族に良質の紙として認知されていましたが、白石で和紙が作られた始まりは正確にはわかっていません。白石和紙が広く知られるようになったのは江戸時代からで、仙台藩では藩祖である伊達政宗が紙の生産を奨励したことで、製紙業が発展しました。

白石で作られる和紙は、生産量が多く、品質でも高く評価され、特に紙布として全国的にその名が広まりました。製品は幕府や朝廷への献上品にもなり、白石の紙衣も防寒・防水性能から高い評価を得ていました。

明治時代に入ると、最高級品の紙布は作られなくなり、漂白技術の普及により耐久性も低下しました。安価な洋紙に対抗できず、白石和紙は衰退の道を歩むことに。1931年、遠藤忠雄が地域の伝統復興を目指して紙工房を立ち上げ、高品質な白石和紙の復活に努めました。彼は技術を研究し、伝統の技法を活用して和紙を漉き続けたことで、その品質を保ちました。

現代の状況

1943年には、遠藤忠雄が納入した紙が戦艦ミズーリでの降伏文書に使われるなど、重要な記録用紙としても認知されました。1975年からは、東大寺に修二会用の紙が納入され続け、さらには三宅一生がデザインした紙子の洋服が世界的な注目を集めました。1982年には、白石和紙が宮城県知事指定伝統的工芸品に指定され、その後も多くの人々に愛されてきました。

しかし、2015年に白石和紙工房は年齢による職人不足を理由に製造を終了し、現在では市民グループが白石和紙の製造と原料植物の栽培存続に挑んでいます。また、2015年のミラノ国際博覧会では白石和紙を用いた見本市が開催され、この伝統工芸士の魅力を世界に伝える機会となりました。

まとめ

白石和紙は、その歴史的背景と高い技術力が生んだ美しい和紙であり、地域文化の重要な一部といえる存在です。現在、その技法や素材を守るための活動が続けられており、その魅力が生かされることを期待します。

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