白神源次郎

白神源次郎の生涯

白神源次郎（しらがみ げんじろう、1869年1月31日 - 1894年7月29日）は、日清戦争において戦死した日本陸軍の兵士です。彼は岡山県倉敷市の備中国浅口郡水江村で貧しい農家に生まれ、その人生は困難なものでした。幼いころから高瀬舟の人足として生計を立てていた彼は、やがて1894年に広島の陸軍歩兵第21連隊に入隊し、ラッパ手として活躍しました。

彼の雄大なラッパの音は周囲に評判を呼び、兵役中には21連隊の名物と言われるほどでした。残念ながら、源次郎は満期が到来し除隊しましたが、早くも運命は彼を再び戦場へ引き寄せます。日清戦争の勃発に伴い、彼は予備役として再召集され、第五師団の一等卒として再び軍に加わりました。

戦死とその後

1894年7月29日、成歓の戦いで、源次郎は武田秀山中佐が指揮する第21連隊の右翼隊に所属していました。この戦闘中に彼は水濠にはまり、溺死してしまいました。享年25歳であり、彼の墓は現在も倉敷市船穂町水江東端の堅盤谷地区に残されています。戒名は『績功院永伝芳誉居士』です。

源次郎が戦死したことは瞬く間に美談として語られるようになり、「死んでも口からラッパを離さなかった」という伝説は多くの人々に感銘を与えました。この美談が広まる中、白神源次郎の名は国民に強く認識されるようになり、彼を讃える歌や詩も多く生まれ、当時の小学校教科書にも彼の名前が載ることとなりました。

金鵄勲章の誤解

また、一説には源次郎が金鵄勲章を受け、進級したという話もありますが、当時の制度では戦死した者に対する叙勲や進級は実施されていなかったため、これにも注意が必要です。1896年には、高梁川が見下ろせる地点に地元の募金により記念碑が建てられましたが、その後、白神源次郎よりも木口小平の名が広まることになりました。

木口小平への訂正

源次郎が美談の主として名を知られたのは、発表から1年後に溺死の事実が公表されるという不都合が生じたことに起因します。第五師団本営は「実際の喇叭手は白神ではなく木口小平であった」と訂正し、教科書も数年後に修正されました。このため、美談の主は木口小平へと移っていきました。しかしながら、源次郎の人気は根強く残り、1932年には彼の名声を否定するために、除籍簿の表記も無理に変更されるという出来事もありました。

現在でも彼の墓所や記念碑は船穂コミュニティバス柳井原線を利用することで訪れることができ、堅盤谷バス停からすぐの距離にあります。白神源次郎の生涯とその美談は、今なお多くの人々の記憶に残り続けています。

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