白糠線

白糠線の概要

白糠線は、北海道の白糠駅から分岐し、足寄駅を目指す計画で建設された地方交通線でした。しかし、実際に開通したのは白糠駅から北進駅までの33.1km区間にとどまり、1983年に全線が廃止されました。この路線は、沿線の炭鉱開発と地域住民の生活を支えるという二つの重要な役割を担うことが期待されていましたが、その短い歴史の中で、様々な要因により、その役割を終えることになりました。

路線データ

管轄: 日本国有鉄道
区間: 白糠 - 北進 33.1 km
軌間: 1067 mm
駅数: 7駅（起点駅含む）＋仮乗降場1箇所
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: なし（全線非電化）
閉塞方式: スタフ閉塞式（全線一閉塞）
有人駅: なし（上茶路駅は1974年に無人化）

路線と施設の状況

白糠線は、茶路川に沿って北上する比較的平坦な路線でした。建設年が新しかったため、橋梁にはコンクリート製のものが多く用いられていました。白糠 - 上茶路間では茶路川を10回、上茶路 - 北進間では13回横断し、多数の橋梁が存在していました。また、鍛高トンネル（145m）と縫別トンネル（510m）の2つのトンネルがありました。レールは30kgレールが使用され、最急勾配は16‰、最小曲線半径は300mでした。

白糠線の歴史

開業までの経緯

白糠線の構想は、第二次世界大戦前から存在していました。戦後、白糠町を中心とした地域住民は、白糠から足寄を結ぶ鉄道建設運動を活発に行いました。1953年には改正鉄道敷設法により、白糠から足寄に至る鉄道が予定線となり、森林資源や石炭資源の開発、農産物の輸送が期待されました。

1956年には調査線、1957年には建設線となり、工事が開始されました。しかし、用地買収では地元の農民との間で激しい対立がありました。1960年代に入ると、炭鉱開発の状況が変化し、上茶路 - 二股間の工事は遅延しました。しかし、雄別炭鉱上茶路鉱業所の新坑開発許可が下りたことを受け、1964年10月7日に白糠駅から上茶路駅までの区間が開業しました。この時、1日4往復の列車が運行され、炭鉱からの石炭輸送に利用されました。

延伸開業とその後

上茶路駅から釧路二股（後の北進）駅までの区間は、1970年に完成しましたが、その直前に上茶路炭鉱が閉山したため、国鉄は開業を拒否しました。しかし、地元住民の強い要望と、当時の運輸大臣の判断により、1972年9月8日にようやく延伸開業が実現しました。しかし、この延伸区間の開業は、札沼線の廃止という別の路線の問題と絡み、批判を浴びることもありました。

全線開通後も、利用客の減少は続き、1978年には貨物輸送も廃止されました。1980年に国鉄再建法が成立すると、白糠線は特定地方交通線の対象となり、1983年に全線が廃止されました。廃止直前には、記念の臨時列車も運行されました。

廃止後の状況

白糠線が廃止された後、その代替として白糠町営バスが運行を開始しました。このバスは、鉄道時代に比べてバス停の数が多く、集落に近い場所で停車できるなど利便性が向上し、地元住民からは一定の評価を得ました。

白糠線の廃線跡の一部は、道路やその他の公共施設に転用されました。また、2015年には道東自動車道が開通し、白糠インターチェンジが設けられ、白糠線がかつて担っていた地域交通の役割の一部が自動車道に引き継がれました。しかし、白糠線の橋梁の一部は、老朽化のため撤去されています。

白糠線の駅一覧

開業区間

白糠駅（起点）
上白糠駅
茶路駅
縫別駅
上茶路駅
下北進駅
北進駅（終点）
共栄仮乗降場

未成区間

鯉方信号場
茂螺湾駅
螺湾駅
中足寄駅

白糠線の教訓

白糠線は、地域の発展を願って建設された鉄道でしたが、時代の変化や沿線の炭鉱の衰退により、その役割を終えました。その短い歴史は、鉄道建設の難しさ、地域交通のあり方、そして公共交通機関の役割について、私たちに多くの教訓を与えてくれます。

参考資料

北海道鉄道百年史
停車場変遷大事典 国鉄・JR編
鉄道未成線を歩く（国鉄編）
鉄道ジャーナル、鉄道ファン、運輸と経済などの雑誌記事

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