白色恐怖緑島紀念園区

白色恐怖緑島紀念園区について

白色恐怖緑島紀念園区は、台湾の台東県緑島郷に位置し、法務部矯正署緑島監獄の近くにあります。この施設は中華民国文化部に属する国家人権博物館であり、政治的抑圧を受けた人々の歴史を今に伝える重要な場所です。園区は、元々多くの政治犯が囚われていた場で、その敷地に残る痕跡は、過去の人権侵害の証として存在しています。

歴史的背景

1951年、台湾警備総司令部は緑島に「新生訓導処」を開設し、政治的背景を持つとされる犯罪者を収監しました。ここで、彼らは思想改造を受ける対象とされました。その後、1970年には泰源事件の影響を受けて新たな監獄施設として国防部緑島感訓監獄が建設され、政治犯たちが集中して監禁されました。

1997年には、当時の立法委員施明徳らが新生訓導処を歴史的施設として記念館に改めるよう求めました。1999年に行政院はその計画を承認し、2000年には施設が観光資源として観光局に移管されました。さらに2001年に「緑島人権紀念園区」として新たに再編成され、広い範囲にわたる保護区域が設定されました。

この園区は、収監されていた人々の記憶を形にするため、蝋人形を使った展示が行われており、当時の政治犯であった欧陽剣華の描いた素描を基にしたものです。2002年には正式に開園し、以降、名称が変更されながらも人権問題に関する教育や啓発活動が進められています。

新生訓導処の実態

1950年代に「新生訓導処」に送られた政治犯の数は千名を超え、彼らは12の集団に分けられて収監されていました。この施設では、囚人たちは管理されながらも、苛酷な労働を強いられていました。自給自足の労働が奨励されたため、囚人たちは自身で建物の材料を取りに行かされるなど、過酷な環境下で生活していました。彼らの間には、他者の罪状に干渉しないことが暗黙の了解として存在していました。

第十三中隊とその後の影響

「新生訓導処」で亡くなった囚人の遺体は、家族に引き取られない限り「第十三中隊」として知られる場所に埋葬されることが多くなりました。この記念碑は後に「十三中隊公墓」と呼ばれるようになり、生存者による記憶の継承の場ともなりました。

まとめ

白色恐怖緑島紀念園区は、台湾の人権や歴史を振り返る重要なスポットです。政治犯たちの記憶を受け継ぎ、現在の人権問題の認識を深めるための教育的施設としての役割を果たしています。尊厳や自由について考えるきっかけを提供するこの場所は、訪れる人々にとって貴重な体験となることでしょう。

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