白鳥塚古墳 (名古屋市)

白鳥塚古墳

白鳥塚古墳は、愛知県名古屋市守山区に所在する、4世紀後半に築造されたとされる前方後円墳です。この古墳は、志段味古墳群を構成する一つとして、国の史跡にも指定されており、その歴史的価値が認められています。愛知県内では3番目の大きさを誇る古墳であり、当時の権力者たちの勢力を示す重要な遺跡です。

特徴

白鳥塚古墳は、手鏡型前方後円墳と呼ばれる形状をしており、埴輪が出土していないことなどから、4世紀後半の築造と考えられています。かつては、墳丘の斜面が河原石の葺石で覆われており、特に後円部の頂上部には白色珪石が使用されていたことが、古墳の名前の由来とされています。江戸時代の絵図には「白鳥山」としてその名が記されており、当時まで多くの葺石が残っていたと推測されますが、現在ではわずかな小片しか確認できません。

歴史

大正時代には、後円部の墳頂が陥没する出来事があり、昭和初期には郷土史家の長谷川佳隆によって発掘調査が行われましたが、埋葬施設や副葬品は確認されませんでした。この調査後、墳頂は埋め戻されましたが、現在でもその跡を確認することができます。第二次世界大戦後には、周辺の開発が進む中で、古墳の一部が売却される危機もありましたが、関係者の尽力により破壊を免れました。1972年には、国の史跡に指定され、2014年には、周辺の古墳群と合わせて「志段味古墳群」として再指定されました。

ヤマトタケル伝説

この古墳には、ヤマトタケル伝説も伝えられています。『東春日井郡誌』によると、ヤマトタケルが伊吹山の賊を征伐に行く途中に蛇に足を噛まれ、その傷口を川で洗っていたところ、一羽の白鳥が現れました。ヤマトタケルが白鳥に尾張まで連れて行ってくれるように頼むと、白鳥は彼を乗せて東谷山の麓に到着し、そこで息絶えたとされています。ヤマトタケルは、その白鳥を悼み、墓を建てたものが白鳥塚であると伝えられています。

規模と構造

白鳥塚古墳の規模は以下の通りです。

墳丘全長：115メートル
前方部
長さ：43メートル
高さ：北側6.7メートル、南側5メートル
幅：40メートル
くびれ部幅：25メートル
後円部
直径：75メートル
高さ：北側15.2メートル、南側12.6メートル

各種調査

1969年の名古屋大学考古学研究室による測量調査では、全長109メートル、後円部径71メートルとされていましたが、2005年と2006年の調査で、それよりも若干規模が大きいことが確認されました。前方部は2段、後円部は3段に築成されており、前方部端と北側、後円部の各1箇所以上に造り出しがあった可能性も指摘されています。また、前方部の一部は川に面した崖状の地形になっており、その形状が築造当初からなのか、その後の侵食によるものかは不明です。さらに、物理探査の結果から、南北方向に置かれた埋葬施設が東西に並列している可能性も示唆されています。

1992年の名古屋市教育委員会による調査では、前方部南東側に周濠が残存していることが判明し、2008年には史跡の指定区域が追加されました。

出土品

古墳からは、以下のものが出土しています。

須恵器
坏蓋
𤭯（はそう、漢字は左が「瓦」、右が「泉」）
甕
土師器片

これらの出土品は、当時の生活や文化を理解する上で重要な資料となっています。

交通アクセス

白鳥塚古墳へのアクセスは、以下の通りです。

大曽根駅（JR中央本線、名鉄瀬戸線、名古屋市営地下鉄名城線）
高蔵寺駅（JR中央本線、愛知環状鉄道・愛知環状鉄道線）

上記いずれかの駅から、名古屋ガイドウェイバス志段味線（ゆとりーとライン）に乗り、「東谷橋」バス停で下車してください。

参考文献

『守山の古墳』 - 守山市教育委員会、昭和38年（1963年）
『国指定白鳥塚古墳 第1次〜第3次範囲確認調査概要報告書』 - 見晴台考古資料館・編、名古屋市教育委員会・発行、平成19年（2007年）
『新修名古屋市史 資料編 考古1』 - 新修名古屋市史史料編編集委員会・編、名古屋市・発行、平成20年（2008年）

関連項目

日本の古墳一覧
* 白鳥古墳群

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