百武源吾

百武源吾：海軍大将、九州帝国大学総長

百武源吾（ひゃくたけ げんご）は、1882年（明治15年）に佐賀県で生まれ、1976年（昭和51年）に94歳で亡くなった日本の海軍軍人です。最終階級は海軍大将で、第7代九州帝国大学総長も務めました。

海軍軍人としての経歴

佐賀藩の足軽の家に五男として生まれた百武は、当初農学を志していました。しかし、海軍兵学校を目指していた兄が病死したことをきっかけに、その遺志を継ぎ海軍の道へ進みます。海軍兵学校を首席で卒業後、遠洋航海を経て、連合艦隊旗艦「三笠」に乗り組み、日露戦争では主砲着弾観測員として活躍しました。

黄海海戦では、敵将を討ち取る「運命の着弾」に貢献しましたが、後に上官との私的な諍いから不信感を抱くようになります。その後も、「富士」航海士として日本海海戦にも参戦、分隊長や航海長などを歴任し、着実に実力を積み上げました。

大尉時代には、砲術学校や海軍大学校で学び、その能力をさらに高めます。特に、海軍大学校では、甲種学生を首席で卒業するなど、優秀な成績を収めました。佐官時代には、軍令部参謀や教育本部部員を兼任し、アメリカ駐在も経験しました。

アメリカでの経験から、アメリカとの協調路線を強く主張するようになりますが、当時の海軍内では受け入れられませんでした。大佐に昇進後は、「多摩」艦長として初めて艦長職に就任。イギリスのエドワード王太子の訪日に際しては、御召艦に同伴しました。

将官としての苦悩

少将に昇進後も、国連軍縮会議海軍代表として対外協調路線を推進。しかし、軍令部の上官や陸軍に対しては反発することも多く、偏屈な性格が災いして、軍令部次長の座を追われたり、軍令部総長への道も閉ざされたりしました。満州事変の際にも、関東軍司令官との会見を拒否されるなど、孤立を深めていきます。

その後、海軍大学校長や練習艦隊司令官などを歴任しますが、海軍省や軍令部とは距離を置くようになりました。親米派としてアメリカ各地で歓迎を受けましたが、一方で地方長官としては、前例にとらわれない奔放な振る舞いで周囲を困惑させることもありました。

大将昇進後は、軍事参議官を務め、開戦に最後まで反対しました。しかし、対米協調を強く主張する百武が軍令部総長になることを恐れた勢力により、予備役編入となり、海軍を追われることになります。

九州帝国大学総長、そして晩年

海軍を追われた百武は、九州帝国大学から総長に指名され、1945年3月から11月まで総長を務めました。学生の風紀を正すために海軍式の教育を導入したり、徴兵された医学生を大学に復帰させたりするなど、その手腕を発揮しました。

終戦後、百武は九州帝国大学総長の職を辞し、静岡県引佐郡に帰農します。開墾から始め、自給自足の生活を送りました。かつての海軍の仲間を自宅に招きクラス会を開くなどして交流を深めましたが、荒木貞夫らの誘いには応じませんでした。

百武は一男九女をもうけましたが、男子は夭逝。全財産を養女に譲り、1976年、94歳で生涯を閉じました。海軍兵学校30期生の中で、最も長生きした人物でした。

人物像

百武は、海軍軍人としての卓越した能力に加え、対米協調を唱えた先見性を持つ人物でした。しかし、その信念が当時の軍部の主流とは相容れず、不遇な時期を過ごすことになりました。また、偏屈で妥協を許さない性格から、周囲との軋轢も多かったようです。しかし、海軍を退いてからも自らの信念を貫き通し、質素な生活の中で生涯を終えました。

家族

兄の百武三郎も海軍大将であり、兄弟で海軍大将になった唯一の例として知られています。弟の百武晴吉は陸軍中将でした。

年譜

百武源吾の年譜については、以下を参照してください。

（年譜はinputのデータを参考にしてください。）

栄典

百武源吾の位階と勲章は、以下を参照してください。

（栄典はinputのデータを参考にしてください。）

親族

百武源吾の親族については、以下を参照してください。

（親族はinputのデータを参考にしてください。）

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