百武三郎

百武三郎

百武三郎（ひゃくたけ さぶろう、1872年6月3日 - 1963年10月30日）は、日本の海軍軍人であり、最終階級は海軍大将です。また、侍従長も務めました。佐賀藩士の家に生まれ、海軍兵学校を首席で卒業後、日清戦争、日露戦争に従軍しました。

生い立ちと海軍入隊

百武三郎は、佐賀藩士である百武庭蔵の三男として生まれました。佐賀中学、攻玉社を経て、1892年に海軍兵学校（19期）を首席で卒業しました。少尉候補生として「松島」に乗り組み、日清戦争に従軍しています。

軍歴

1894年に少尉に任官後、「八島」回航委員としてイギリスへ出張しました。1902年には海軍大学校（甲種3期）を卒業しています。その後、呉鎮守府参謀、「日進」水雷長を経て、日露戦争には第3艦隊参謀として従軍し、日本海海戦を戦いました。その後も、第4艦隊参謀、ドイツ・オーストリア駐在などを経て、1910年に帰国しました。帰国後は、「朝日」副長、軍務局員、「磐手」艦長、「伊勢」艤装員長、「榛名」艦長、第2艦隊参謀長などを歴任し、1917年に海軍少将に昇進しました。

さらに、佐世保鎮守府参謀長、教育本部第2部長、第3戦隊司令官、鎮海要港部司令官、舞鶴要港部司令官、練習艦隊司令官、佐世保鎮守府長官、軍事参議官などを歴任し、1928年に海軍大将となり、同年に予備役編入となりました。

百武三郎は、実直な人柄で知られていましたが、弟で海軍大将の百武源吾とは対照的な性格であったため、個人的な軋轢も少なからずあったようです。しかし、幕僚たちからは兄弟の連携が賞賛されることもありました。

侍従長としての活動

1936年から1944年まで、百武三郎は侍従長として昭和天皇に仕えました。これは、前任の鈴木貫太郎が二・二六事件で襲撃されたことを受け、後任として海軍予備役大将の中から選ばれたものです。昭和天皇は当初、「百武とはいかなる人物か？」と不安視する発言をしていたようですが、結果として百武は問題なく侍従長を務め上げました。また、第三皇女である鷹司和子の花嫁修業を百武家で受けさせるなど、天皇からの信頼も厚かったようです。

戦後

戦後、枢密顧問官であったため公職追放となりました。長男の伸安は海軍少佐として戦病死しており、長女は金子繁治海軍中将に嫁いでいます。

百武三郎が侍従長在任中に記した『百武三郎日記』と、関連資料は、2014年に発表された『昭和天皇実録』の編纂資料として採用され、注目を集めました。

栄典

百武三郎は、その功績により、数々の位階と勲章を授与されています。

位階：正八位から従二位まで昇進。
勲章等：勲六等単光旭日章、双光旭日章、勲四等瑞宝章、功四級金鵄勲章、旭日小綬章、旭日中綬章、勲二等瑞宝章、旭日重光章、勲一等瑞宝章、紀元二千六百年祝典記念章、旭日大綬章。

また、満州帝国から建国神廟創建記念章を授与されています。

その他

ETV特集「侍従長が見た 昭和天皇と戦争」（2022年8月6日、NHK Eテレ）で、百武三郎に関するドキュメンタリーが放送されました。

参考文献

アジア歴史資料センター『常備艦隊及附属艦船乗員表』
半藤一利他『歴代海軍大将全覧』中央公論新社
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会
外山操編『陸海軍将官人事総覧 海軍篇』芙蓉書房出版
福川秀樹『日本海軍将官辞典』芙蓉書房出版
* 『朝日年鑑』昭和22年版、朝日新聞社

これらの資料から、百武三郎の生涯と業績についてより詳しく知ることができます。

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