百済寺 (枚方市)

百済寺の歴史と重要性

百済寺（くだらでら、くだらじ）は、大阪府枚方市に存在した古代の寺院で、天平勝宝2年（750年）に百済王敬福によって建立されたとされています。この寺は1941年に国の史跡に指定され、1952年には特別史跡に昇格しました。その後、1965年から1967年にかけて史跡公園として整備され、これは全国初の試みとされています。また、1973年10月には「百済寺跡の松風」として枚方八景の一つに選ばれました。

百済寺の構造

百済寺は枚方市の交野ヶ原に位置する小高い丘の上にあり、伽藍様式を持っています。ここには金堂、講堂、食堂が中心となり、その東西に塔が配置されています。これらの建物の礎石は現在も残存しており、中門、南門、東門、東院の跡も確認されています。

回廊は中門から東西の塔を囲む形で金堂に接続しており、その遺構からは薬師寺に似た設計様式も見て取れますが、薬師寺が持つ回廊の構造とは異なり、新羅の感恩寺と同様のスタイルも示唆されています。このため、百済寺は古代日本と朝鮮半島の文化交流の重要な証として認識されています。

残された遺構と整備状況

建築物自体は数回の焼失により現存していませんが、基壇と礎石は復元され、「百済寺跡公園」として整備されています。ここには百済王神社も隣接し、一帯は文化的に価値のある地域とされています。2005年から始まった再整備事業も、この場所の文化財的な価値を高めることを目的としています。

発掘調査の経緯

百済寺に関する発掘調査は1932年から行われており、1932年の第一回目の調査では、堂塔の基壇や回廊の礎石が確認され、薬師寺式の伽藍構造と考えられました。この調査から1941年の史跡指定がなされましたが、その後老木や潅木により遺構の状態が悪化しました。1965年には寺嶋宗一郎市長の提唱により、第2次発掘調査が行われ、新たに回廊の構造が確認されました。

その後、2005年から始まった第3次発掘調査では、奈良時代の大型多尊塼仏の破片が発見され、百済寺の重要性がさらに浮き彫りとなりました。この発見は百済の王氏が強い影響力を持っていたことを示唆するものです。

難波百済寺との関連

百済王氏が河内国交野に移住する前、摂津国難波京にも「百済寺」および「百済尼寺」が存在したと考えられており、『日本霊異記』に登場する難波百済寺は7世紀中葉から10世紀まで続いていたとされています。これらの遺跡からは奈良時代の土器などが出土しており、百済の文化とその影響を示す貴重な資料となっています。

アクセス

百済寺跡は、京阪交野線の宮之阪駅から徒歩約10分の距離に位置しています。周囲の自然と調和した公園として、多くの訪問者にとって歴史を感じられる場所となっています。

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