百瀬義行

百瀬義行：日本のアニメーション史に名を刻む巨匠

百瀬義行氏は、1953年生まれの日本のアニメーター、演出家、そしてアニメーション監督です。東京都出身で、日本のアニメーション黎明期から第一線で活躍を続けるベテランの一人と言えるでしょう。そのキャリアは、数々の名作アニメーション制作に携わってきた証です。

ジブリ時代：高畑勲監督作品の中核を担う

百瀬氏のキャリアにおいて、スタジオジブリでの活動は特筆に値します。1988年の『火垂るの墓』から2013年の『かぐや姫の物語』まで、長きにわたってジブリ作品に参加。特に高畑勲監督作品においては、その中心的な存在として活躍しました。近藤喜文氏の推薦で『火垂るの墓』に参加して以降、高畑監督作品においてレイアウト、作画監督補、原画、場面構成、演出など、多岐にわたる役割を担い、作品世界を形作る上で不可欠な存在でした。高畑監督は百瀬氏を「アニメーションを進化させる」と評し、「片腕から抜け出て両腕をふるう活躍」と絶賛しています。

宮崎駿監督作品にも参加しており、『紅の豚』『On Your Mark』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』などで原画を担当。ジブリ作品における百瀬氏の貢献は、まさにスタジオを支える中核としての実績と言えるでしょう。

デジタル技術への先進的な取り組み

百瀬氏は、デジタル技術への関心も高く、1980年代からコンピュータを使用した映像制作に取り組んできました。『もののけ姫』制作時にはCG室を立ち上げ、スタジオジブリにおけるCG技術の導入と普及に大きく貢献。特に、セルルック（セル画のような表現の3DCG）をいち早く導入したのも、百瀬氏の功績です。

ジブリ退社後：スタジオポノックでの活躍

ジブリの制作部門解散後も、百瀬氏は第一線で活躍を続けています。2018年には、旧ジブリスタッフが設立したスタジオポノック制作の短編アンソロジー『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』において、『サムライエッグ』の脚本と監督を担当。2019年には、人気RPGシリーズ『二ノ国』を原作とする長編アニメーション映画の監督を務めました。さらに、2021年にはスタジオポノックが制作したオリンピック文化遺産財団との共同制作短編アニメーション映画『Tomorrow's Leaves』を監督。2023年には、スタジオポノックの長編アニメーション映画『屋根裏のラジャー』の監督を務めるなど、精力的に活動を続けています。

多彩な活動：監督業にとどまらない才能

百瀬氏の活動は、アニメーション監督業にとどまりません。ジブリ時代には、テレビCMの演出や短編アニメーション作品『ギブリーズ』シリーズの監督を務めたほか、中田ヤスタカ氏の楽曲PVも手がけています。これらのPV作品は、後に劇場公開された映画『ジュディ・ジェディ』としてまとめられました。また、ゲーム『二ノ国』シリーズではアニメーションパート監督やキャラクターデザインを担当するなど、幅広い分野で活躍しています。さらに、書籍の執筆やイラストレーションなども手掛け、その才能は多岐に渡っています。

百瀬義行氏は、長年に渡り日本のアニメーション界に多大なる貢献を果たしてきた、まさに巨匠と言えるでしょう。これからもその卓越した才能で、私たちを魅了する作品を創り続けてくれることを期待しています。

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