益救神社

益救神社の概要

益救神社（やくじんじゃ）は鹿児島県熊毛郡屋久島町に所在する由緒ある神社です。式内社に分類され、旧社格は県社で、高い歴史的価値を持っています。日本で最も南方に位置する神社のひとつとして知られ、その名前にはかつて「ますくひ」や「すくひ」という読まれ方もありました。古い名称には「須久比ノ宮」や「一品宝珠大権現」があります。

祭神について

益救神社の主祭神は天津日高彦火々出見命（あまつひこひこほほでみのみこと）で、海幸山幸の神話に登場する「山幸彦」としても知られています。また、配祀神として大山祇命、木花開耶姫命、塩土翁、豊玉彦命、豊玉姫命、玉依姫命が祀られています。もともとは屋久島の中央部に位置する三岳（宮之浦岳、永田岳、栗生岳）の神々が祀られていたと考えられており、かつては島内各地に三岳の遥拝所が存在しました。

歴史の流れ

益救神社の創建については明確な記録はありませんが、記録として『日本書紀』に登場する年、舒明天皇元年の使用者遣いたことから、屋久島の重要性がうかがえます。また、『続日本紀』に記載された高橋連牛養が南島に派遣されたことからも、屋久島が南海航路の要地であったことが示されています。

8世紀から9世紀初頭にかけて、屋久島とその近隣の種子島は多禰国の一部となり、益救神社がその一宮とされていたことが伝えられています。その後、延長5年の『延喜式』神名帳に記載されたことでこの神社が文献に初めて登場し、その位置づけがさらに重要性を増しました。

戦国時代には屋久島は種子島氏の領地となりましたが、法華宗の影響により益救神社は衰退します。特に文明元年には法華宗が重要視され、さらに八重岳の振動が怪異を引き起こしたため、尼僧の日増が来島し、御岳に登って鎮める行為が見られました。

江戸時代中期に、益救神社の荒廃を見かねた薩摩藩士が再建に尽力し、社殿が築かれましたが、明治時代には神社の改組が行われ、祭神も再定義されて現在に至ります。特に第二次世界大戦中、社殿が焼失したものの、戦後に再建されました。

境内と祭り

本殿は三間社流造の建築様式であり、地域の文化を色濃く映し出しています。屋久島では、春秋の彼岸に行われる岳参りの風習があり、若者たちが神聖な山に登り、シャクナゲを持ち帰る習慣がありましたが、環境保護の観点から最近はこの風習は減少しています。

まとめ

益救神社はその歴史と伝統、また独自の祭りを通じて島内の人々に深い信仰を寄せられ続け、現在も地域に根付いた存在です。神社は訪れる人々にとって、歴史的価値だけでなく、地域文化を体感できる場となっており、多くの人が足を運んでいます。神社の場所は鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦277に位置し、訪れる際にはその深い歴史に触れられる貴重な経験ができることでしょう。

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