目で聴くテレビ

「目で聴くテレビ」とは

「目で聴くテレビ」は、聴覚に障害のある方々へ向けた情報提供を目的とする番組です。その最大の特徴は、番組の全ての内容を手話と字幕を用いて伝える点にあります。これにより、音声情報に頼ることなく、視覚的に内容を把握することが可能となっています。

この番組の制作は、認定特定非営利活動法人である障害者放送通信機構が担っています。同機構は、かつてCS障害者放送統一機構として活動していた団体です。彼らの活動を通じて、聴覚障害者が必要とする様々な情報、ニュース、教養などが届けられています。

番組視聴方法の変遷と専用受信装置

番組を視聴するためには、かつては特定の通信衛星を用いた専用の放送を受信する必要がありました。この衛星放送時代に使用されていたのが、専用チューナー「アイ・ドラゴンIII」です。この「アイ・ドラゴンIII」は、聴覚障害者情報受信装置として、CSアンテナや緊急警報装置とセットで、身体障害者日常生活用具に指定されており、番組指定の特約店を通じて提供されていました。

アイ・ドラゴンIIIには、専用番組である「目で聴くテレビ」を受信する機能に加え、一般放送に付与される字幕スーパーを受信するためのデコーダー機能も搭載されていました。また、地上波で提供されていた文字放送や、災害発生時に発令される緊急情報を視覚的に受信する機能も備えていました。特筆すべきは、地上デジタルチューナーが内蔵されていたため、従来のアナログテレビであっても地上デジタル放送を視聴できるようになるという利便性も提供していたことです。衛星はSUPERBIRD C2が使用されていました。

しかし、衛星による放送は2018年3月をもって終了しました。これに先立つ2017年秋からは、視聴方法がインターネット回線を利用したIPTV（インターネットプロトコルテレビ）へと移行しています。IPTVによる視聴には、新たに開発された専用のセットトップボックス「アイ・ドラゴン4」とインターネット接続が必要となります。この移行により、より柔軟な視聴環境の提供が期待されています。

地上波およびケーブルテレビでの放送

「目で聴くテレビ」は、専用の受信装置やインターネットを通じて視聴するのが主な方法ですが、その内容の一部は地上波のテレビ局や一部のケーブルテレビ局でも放送されています。これらの放送は、主に番組本編からダイジェスト編集されたものが週に一度放送される形式をとっています。

現在、ダイジェスト版を放送している地上波テレビ局は以下の通りです。

テレビ神奈川：毎週月曜日 9:00 - 9:30
京都放送：毎週土曜日 8:00 - 8:30 （再放送：毎週火曜日 8:00 - 8:29）
* サンテレビ：毎週火曜日 8:00 - 8:30

過去には、テレビ埼玉や三重テレビ放送でも同様のダイジェスト版が放送されていました。これらの地上波やケーブルテレビでの放送は、より多くの人々、特に専用機器を持たない層に対しても、「目で聴くテレビ」の存在やその内容を知ってもらう機会となっています。

関連事項

「目で聴くテレビ」は、聴覚障害者向けの情報提供という分野において、他の様々な取り組みとも関連しています。例えば、NHKが放送する「手話ニュース」や「NHK手話ニュース845」、「ろうを生きる 難聴を生きる」といった番組は、聴覚障害者への情報提供や当事者の生活を取り上げたものであり、「目で聴くテレビ」と同様の目的意識を共有しています。また、ニュース番組においては「NNNニュース・サンデー」のような手話通訳付きの試みもあります。

番組には、手話キャスターとして活躍する岡本かおり氏のような関係者もいます。彼女たちの存在は、聴覚障害者コミュニティと番組を結ぶ重要な役割を果たしています。

より詳細な情報や番組内容については、公式サイトを参照することができます。

もう一度検索