目黒町 (東京府)

目黒町：東京府荏原郡の歴史を彩った町

目黒町は、かつて東京府荏原郡に存在した町です。現在の東京23区、目黒区の北部地域に相当します。明治時代から昭和時代初期にかけて、この地は目まぐるしい発展を遂げ、多くの歴史や文化、そして人々の生活を育んできました。この記事では、目黒町の歴史、交通、教育機関、名所旧跡、そして地域構成などを詳細に見ていきます。

町の成立と変遷

1889年（明治22年）、町村制の施行により、三田村、下目黒村、中目黒村、上目黒村が合併して目黒村が誕生しました。その後、1922年（大正11年）12月1日に町制を施行し、目黒町となりました。それから10年後の1932年（昭和7年）10月1日、荏原郡全域が東京市に編入され、目黒町は東京市目黒区の一部となりました。この編入によって、目黒町は一つの行政単位としての歴史に幕を閉じました。

交通網の発展

目黒町時代には、いくつかの鉄道が開通していました。玉川電気鉄道（現在の東京急行電鉄）の玉川線（現在の池尻大橋駅の前身である大橋駅を含む）、中目黒線（のちに東京都電車）が運行されていました。また、東京横浜電鉄（現在の東京急行電鉄）東横線も中目黒駅と祐天寺駅を結んでいました。現在の京王井の頭線は、目黒町が存在した当時にはまだ開業しておらず、1965年に開業しています。道路網としては、玉川通り、目黒通り、駒沢通り、山手通りなどが現在の名称で存在していました。

教育と文化

目黒町には多くの教育機関が存在していました。東京帝国大学農科大学（現在の東京大学の一部）は上目黒にありました。他にも、下目黒商業公民学校、菅刈商業公民学校、目黒町青年訓練所など、様々な学校や教育施設が町の教育を支えていました。高等女学校や尋常小学校も複数存在し、当時の教育水準の高さを伺わせます。また、日本獣医学校、九頭竜女学校、日出女学校、幼稚園などの私立学校も多くありました。

宗教と自然

目黒町には、大鳥神社、中目黒八幡神社、上目黒氷川神社、烏森稲荷神社、十日森神社など多くの神社が存在しました。これらの神社は、地元住民の信仰の中心として、町の生活に深く関わっていました。また、目黒不動（瀧泉寺）は、目赤、目黄、目白、目黒、目青の五色不動の一つとして知られていました。祐天寺や正覚寺などの寺院も、町の歴史と共に存在してきました。

地域構成

目黒町は、大字三田、大字下目黒、大字中目黒、大字上目黒の4つの大字に分けられていました。それぞれの区域は、さらに多くの字に細分化されていました。これらの字は、現在の町名とは必ずしも一致しませんが、現在の青葉台、大橋、上目黒、五本木、駒場、下目黒、中町、中目黒、東山、三田、目黒、祐天寺、中央町二丁目など、現在の目黒区の町名と対応する部分が多くあります。

まとめ

目黒町は、近代日本の発展とともに変化し、発展していった町でした。鉄道網の整備、教育機関の充実、そして多くの神社仏閣の存在は、当時の生活の様子や文化を物語っています。これらの歴史的事実を基に、私たちは現在の目黒区の礎を築いた目黒町の歴史に思いを馳せることができます。その歴史を伝える貴重な文献として、『目黒町誌』、『荏原郡目黒町現状調査』、『東京府荏原郡目黒町全圖番地界入』などの書籍が残されています。これらの資料は、目黒町の姿を詳細に知る上で重要な役割を果たしています。

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