盲腸線

盲腸線：行き止まり路線の謎を探る

「盲腸線」という言葉を聞いたことはありますか？ これは、鉄道において、営業距離が短く、片方の終点駅が他の路線と接続していない、行き止まりの路線を指す俗称です。人体における盲腸のように、路線網の末端に位置することから、このように呼ばれています。

しかし、盲腸線には厳密な定義はありません。そのため、その範囲は文献によって異なり、幹線路線であっても盲腸線に含める場合もあります。例えば、輸送量が少なく短い路線を指すことが多い一方、幹線鉄道も盲腸線に含める解釈も存在します。

盲腸線の定義をめぐる解釈の違い

ある文献では、幹線であっても本線を称さない行き止まり路線は盲腸線として紹介している一方で、本線と称する行き止まり路線は、幹線であっても地方交通線であっても盲腸線から除外しています。一方で、他社線と接続している路線であっても、盲腸線に含める解釈もあります。

このように、盲腸線の定義は曖昧であり、その解釈は様々です。ある専門家は、終端駅や途中駅で他の鉄道路線と接続していない路線を盲腸線と定義し、本線は地方交通線であっても盲腸線から除外しています。

盲腸線の歴史と現状

盲腸線は、日本の地方鉄道や国鉄において、かつて数多く存在しました。しかし、自動車の普及やエネルギー供給転換などによって、多くの路線が廃止されました。特に、1980年代の国鉄再建時には、輸送密度を基準に廃止路線が選定され、通過需要の少ない盲腸線は廃止対象となりやすかったです。

国鉄再建法は、旅客営業キロが30キロメートル以下で、旅客輸送密度が2000人未満の路線を廃止対象としていましたが、これは本来、第2次廃止対象路線の基準でした。しかし、第1次廃止対象候補の40線区のうち、1線区を除く39線区が盲腸線であり、結果として多くの盲腸線が廃止されました。

日本以外の盲腸線

日本以外でも、盲腸線は存在します。例えば、台湾の平渓線は、日本人観光客向けに「盲腸線」として紹介されている例があります。

盲腸線の形成過程

盲腸線は、様々な要因によって形成されます。

1. 接続路線の廃止・路線の短縮: 元々は盲腸線でなかった路線が、途中区間や接続路線の廃止によって盲腸線となるケース。
2. 路線の建設中止: 建設途中で中止された路線。
3. 分岐する新線の建設: 本線から分岐する新線が建設され、元の路線の一部が盲腸線となるケース。
4. 培養路線機能の衰退: 輸送量の減少によって、重要性が低下した路線。

盲腸線の範疇から外れる路線

行き止まり路線であっても、盲腸線に含めないケースがあります。

本線・幹線: 長崎本線、横須賀線、鶴見線などは、終点で他路線と接続しているため、盲腸線とはみなされないことが多いです。ただし、地方交通線である留萌本線は、盲腸線に含める場合もあります。
引き込み線の旅客化: 新幹線博多南線など、沿線の要請によって旅客化された引き込み線。
他社線に接続している路線: 伊東線や佐世保線など、元々盲腸線だったものが、後に他社線と接続した路線。見解が分かれるケースです。
特定の施設へのアクセス路線: 空港連絡[[鉄道]]、臨海鉄道、ニュータウン鉄道などは、重要な役割を果たしているため、盲腸線とみなさない場合も多いです。

結論

盲腸線は、その定義や範囲が曖昧なため、様々な解釈が存在します。しかし、その歴史や形成過程、そして現在残る路線を理解することで、鉄道網の複雑さや、地域社会との関わりをより深く理解することができるでしょう。 今後、鉄道網の変遷が進む中で、盲腸線の定義や扱いも変化していく可能性があります。

もう一度検索