直流電動機

直流電動機：仕組みと種類

直流電動機は、直流電流を動力源として回転運動を作り出すモーターです。その仕組みは、電磁石の磁力と電流の相互作用を利用しています。コイルに電流を流すと磁場が発生し、永久磁石や電磁石の磁場と相互作用することで回転力が生み出されます。

直流電動機は大きく分けて、整流子電動機と無整流子電動機の2種類があります。

1. 整流子電動機（ブラシ付きDCモーター）

整流子電動機は、回転子（回転する部分）と固定子（固定されている部分）から構成され、回転子には電機子と呼ばれるコイルが巻かれています。整流子とブラシによって、電機子コイルに流れる電流の方向を制御することで、回転運動を継続的に生み出します。

整流子電動機はさらに、界磁磁石の種類によって以下の種類に分類されます。

永久磁石界磁形整流子電動機: 小型でシンプルで、玩具や小型家電製品などに広く用いられています。永久磁石が界磁（磁界を作る部分）として用いられています。鉄心型と無鉄心型があり、無鉄心型はコアレスモーターとも呼ばれ、携帯電話の振動モーターなどに使われています。
電磁石界磁形整流子電動機: 電磁石を界磁として使用しており、界磁電流の制御によって回転速度を調整することができます。以下のような種類があります。
直巻整流子電動機: 界磁巻線と電機子巻線が直列に接続されています。大きなトルクを得られるため、電気鉄道などの動力として使われます。
分巻整流子電動機: 界磁巻線と電機子巻線が並列に接続されています。回転速度が比較的安定しており、ディーゼル機関車やエレベーターなどに用いられます。
複巻整流子電動機: 界磁巻線を2つ持ち、それぞれ電機子巻線と直列及び並列に接続されています。界磁チョッパ制御との組み合わせで電気鉄道に用いられることが多いです。

2. 無整流子電動機（ブラシレスDCモーター）

無整流子電動機は、ブラシを使用せず、電子回路によって電機子コイルへの通電を制御することで回転運動を得るモーターです。ブラシがないため、磨耗によるメンテナンスが不要で、長寿命、高効率であることが特徴です。

インナーローター型: 回転子が固定子の内側に配置されています。小型で高回転数を得られるため、電動RCカーの走行用モーターなどに使われています。
* アウターローター型: 回転子が固定子の外側に配置されています。大きなトルクを得ることができ、コンピューターのFDDや冷却ファンなどに用いられます。

回転速度とトルク

直流電動機の回転速度は、界磁電流や電機子電流によって制御されます。一般的に、界磁電流を大きくすると磁束が増加し、トルクは大きくなりますが、回転速度は低下します。逆に界磁電流を小さくすると回転速度は増加しますが、トルクは減少します。

まとめ

直流電動機は、その種類と特性によって様々な用途に利用されています。小型の携帯電話から大型の電気鉄道まで、私たちの生活の中に広く浸透しています。それぞれの用途に最適なタイプの直流電動機を選択することで、効率的で信頼性の高いシステムを実現することができます。 本稿では、直流電動機の基礎的な仕組みと種類について解説しました。より詳細な情報は、専門書や技術資料を参照することをお勧めします。

もう一度検索