回転子

回転子：回転する心臓部

回転子（ローター）は、電動機や発電機などの回転機器において、中心的な役割を担う回転する部品です。電機子、界磁、あるいはそれらを含む構造物全体を指す総称であり、その種類や構造は多岐に渡ります。用途や必要とされる性能に応じて、最適な回転子が選択されます。

回転子の種類

回転子は、その構造や励磁方式によって、大きく以下の種類に分類されます。

1. かご形回転子:

これは主に誘導[[電動機]]で使用される、比較的シンプルな構造の回転子です。ケイ素鋼板製の鉄心に、導電性の棒状の導体を埋め込み、その両端を短絡環で接続したものです。構造が簡単で頑丈、そして安価であるため、幅広い用途で使用されています。小・中容量のモーターでは、アルミニウムの加圧鋳造によって導体、短絡環、通風翼を一体化したものも多く見られます。

* 特殊かご形回転子: 始動時の大電流を抑制し、大きなトルクを得るために、回転子の電気抵抗を調整した特殊な形状のものが存在します。二重かご形や深溝かご形などがその例です。二重かご形は導体を半径方向に二重に配置し、深溝かご形は半径方向に細長い導体を使用することで、それぞれの特性を実現しています。

2. 巻線形回転子:

直流電動機、同期[[電動機]]、誘導[[電動機]]など、様々な電動機で使用されます。コイルを巻いた構造をしており、励磁方法や巻線への接続抵抗の調整によって、回転速度や始動特性などを制御できます。直流励磁の場合は磁力調整、交流励磁の場合は回転速度制御、誘導機の場合は始動特性の変更が可能です。

3. 永久[[磁石]]形回転子:

永久[[磁石]]を用いて励磁を行う回転子です。励磁に必要な電流が不要なため、回転子自体の発熱が少なく、冷却機構が簡素化できます。直流電動機や同期[[電動機]]などに用いられます。

回転子の配置と形状

回転子の配置や形状も、機器の性能に大きく影響します。代表的なものとして、以下の3種類があります。

1. インナーローター:

円筒形の回転子の外側に固定子を配置した構造です。構造的に無理がなく、小型のものは特に慣性モーメントが小さいため、高速回転や正逆転の切り替えが容易です。小型のものはロボットのアクチュエーターなど、大型のものは一般的な電動機として広く使用されています。

2. アウターローター:

カップ状の回転子の内側に固定子を配置した構造です。慣性モーメントが大きいため、駆動トルクも大きく、定速度性に優れています。DVDプレーヤーの回転部やビデオテープレコーダーのドラムなど、定速度制御が重要な用途で使用されます。また、軽量で高トルクな特性を生かし、模型飛行機のプロペラ直結駆動にも用いられています。

3. フラットローター:

扁平な回転子と固定子を回転軸方向に重ね合わせた構造で、薄型機器に適しています。

まとめ

回転子は、電動機や発電機など、様々な回転機器の心臓部として、その種類や構造、配置によって様々な特性を発揮します。それぞれの用途や性能要求に合わせて最適な回転子を選択することが、機器全体の効率や信頼性を高める上で非常に重要です。

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