相応 (僧)

相応 (そうおう)

平安時代前期に活躍した天台宗の僧で、俗姓は櫟井氏とされる相応は、近江国浅井郡の出身です。彼は比叡山にて無動寺を創設し、名僧として知られており、特に千日回峰行の祖とされています。

生涯の歩み

相応は承和12年（845年）、15歳のときに鎮操に従い比叡山に入りました。承和14年（847年）、17歳で剃髪し、十善戒を受けます。経典の学習を進める中で、法華経に心を寄せ、その智慧を求めるようになりました。特に毎日花を供えることで、法華経を学び、更なる精進を重ねました。

彼の信心の堅さは円仁にも認められ、斉衡2年（855年）に無動寺の名の由来となる得度を授かります。得度後は12年間の篭山修行に入りますが、天安2年（858年）には藤原良相からの依頼で、重病の娘多美子を救うために急遽下山し、壮大な霊験を現します。これが彼の名声を確立する一因となりました。

その後も、相応は様々な功績を残し、貞観元年（859年）から3年間、比良山中に籠り、そこで不動明王の姿を感得したと言われています。加えて、清和天皇の歯痛を治癒するなど、多くの霊験を示しました。

霊験と教え

相応はその生涯を通じて、数多くの人々を救う霊験譚が記録されています。特に彼が行った加持は多くの信者に感動を与えました。貞観3年（851年）には、皇太后・藤原明子を悩ます天狗を调伏し、また、延喜3年（903年）には重病の玄照を救ったエピソードも有名です。

相応の信仰は、ただの宗教的儀式に留まらず、日常の中で人々を救う力を持つものであったと言われています。彼の教えや行動は、僧侶だけでなく一般の人々にとっても大きな影響を与えました。

文化的貢献

相応はまた、同時代の学者・菅原道真とも深い関係を持ち、道真が大宰府に向かう際には、自ら彫った小像を預けるといったエピソードも残されています。道真の死後、相応はその遺品を自らの出生寺に祀りました。

延喜18年（918年）に入滅するまで、相応は霊的存在として尊敬を集め、その教えや功績は現代においても語り継がれています。彼の教えを学ぶことは、多くの人々にとって今なお重要であり、多様な信仰の一部として受け入れられています。

相応は、平安時代における大僧正として、教義や信仰だけでなく、精神的な支えを提供し続けました。彼の生涯は、信仰の力と人々への思いやりを象徴するものとなっています。

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