相木崇

相木 崇（あいき たかし）

1978年5月16日生まれ、熊本県熊本市西区出身の元プロ野球選手（投手）。独特なサイドスローを武器に、プロ、社会人野球で活躍した。

少年時代から大学へ

地元の城西小学校4年時に野球に触れたのが始まり。西山中学校では投手に転向し、才能の片鱗を見せた。地元強豪の熊本市立商業高等学校に進学すると、3年時には熊本大会でチームをベスト4に導く原動力となった。高校卒業後は福岡大学体育学部へ進み、硬式野球部に入部。大学2年時に投球フォームをサイドスローに変更したことが転機となり、球威が著しく向上した。その結果、3年春と4年春には九州六大学リーグで最優秀選手（MVP）に輝き、大学選手権にも2年連続で先発登板。3年時の初戦では見事な完封勝利を収めるなど、優秀選手にも一度選出された。最速144km/hを計測したストレートなどが高く評価され、プロ入りへの道を切り開いた。

プロ野球での挑戦

そして迎えた2000年度のプロ野球ドラフト会議では、オリックス・ブルーウェーブから4位指名を受けプロ入りを果たした。入団契約金は推定7000万円、初年度の年俸は推定800万円であった。偶然にも、当時の大学野球部長とオリックスの仰木彬監督が高校の同級生という縁もあったという。

プロ入り1年目は一軍での登板機会はなく、二軍では9敗を喫するなど苦難のスタートとなった。『プロのレベルについていけないかもしれない』と挫折感を味わう時期でもあった。しかし、プロ2年目の2002年、金田政彦投手や戸叶尚投手といった主力選手の離脱もあり、チャンスが巡ってくる。7月21日、福岡ダイエーホークス戦で念願の一軍初登板・初先発を飾るが、足の痙攣により5回途中で無念の降板となった。だが、続く2試合目の登板となった7月28日の大阪近鉄バファローズ戦では、見事プロ初勝利を完封という最高の形で飾り、さらに8月5日の千葉ロッテマリーンズ戦でも再び完封勝利を収め、2試合連続完封の快挙を達成した。この活躍が認められ、同年のシーズンオフには第15回IBAFインターコンチネンタルカップの日本代表にも選出された。

2004年にはシーズンを通して先発ローテーションの一角を担い、安定した投球を見せた。年末には球界再編に伴う選手分配ドラフトにより、新たに発足したオリックス・バファローズへ移行する形となった。

新たな環境へ

2005年シーズンオフ、前川勝彦投手との交換トレードで阪神タイガースへの移籍が決定。推定年俸1,900万円で契約を更改し、新たな環境に挑むことになった。阪神では主に中継ぎとして起用されたが、期待された成績を残すには至らず、2007年シーズンオフに球団から戦力外通告を受けた。

プロ野球の世界を離れた後、山本隆之投手らに続く投手陣の強化を目指していた社会人野球強豪の松下電器（現パナソニック）から声がかかり、2008年1月1日付で入社した。同年の都市対抗野球予選では、登板した全4試合でわずか1失点に抑えるなど、チームの勝利に貢献するリリーフとして存在感を示した。その後も社会人野球でプレーを続けたが、2011年シーズン限りで野球部を退き、現在は社業に専念している。

プレースタイル

その最大の特徴は、膝元から繰り出される独特なサイドスロー。打者にとってはボールが手元で浮き上がってくるかのような錯覚を覚える軌道を描いた。ストレートの球速は最速140km/h台前半と突出して速いわけではなかったが、ナチュラルに変化する軌道は有効だった。特に右打者に対しては、内角に果敢に投げ込むストレートと、外角へ逃げるスライダーのコンビネーションで打者を翻弄し、巧妙に緩急を使い分けた。

主な記録と背番号

初登板・初先発登板: 2002年7月21日、対福岡ダイエーホークス14回戦（福岡ドーム）
初奪三振: 同上、3回裏に田口昌徳から
初勝利・初先発勝利・初完投勝利・初完封勝利: 2002年7月28日、対大阪近鉄バファローズ18回戦（大阪ドーム）
初セーブ: 2004年5月15日、対北海道日本ハムファイターズ9回戦（Yahoo! BBスタジアム）

背番号:
38 （2001年 - 2005年）
* 48 （2006年 - 2007年）

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