相模・武蔵地震

相模・武蔵地震について

相模・武蔵地震（さがみむさしじしん）は平安時代の878年10月28日（グレゴリオ暦11月1日）に発生した地震です。この地震は「元慶地震」や「元慶の関東地震」とも呼ばれ、推定マグニチュードは7.4とされています。ただし、他の研究者によると、マグニチュードは7.0から7.5の範囲と推定されています。この地震は現在の関東地方南部において、非常に大きな被害を引き起こしました。

歴史的背景

当時の歴史書『日本三代実録』には、地震が発生した日と、その影響が記録されています。この記録によれば、平安京で有感地震が観測されたのと同時に、関東地方の各地で大きな地震が発生しました。特に相模国と武蔵国では被害が甚大であり、多くの建物が倒壊し、土地も陥没したために街道の交通が阻害され、多くの人々が圧死したとされています。

この地震後も余震が続き、5～6日間にわたって活発な地震活動があったと伝えられています。また、地震から約3年後に相模国分寺の本尊である仏像の破損や失火による焼失が記録されています。このため、相模国は国分寺の修復を申請し、流転していた国分尼寺を元の位置に戻すよう許可されました。ただし、元慶3年の記録ではなく、878年の相模・武蔵地震の被災記録であると考えられています。

地震のメカニズム

地震考古学に基づく推定では、震源断層は伊勢原断層または相模トラフのプレート境界断層であった可能性があります。伊勢原断層は5世紀から18世紀にかけての活動が見られることから、相模湾沿岸で急激な隆起が発生したとされ、この断層が地震の原因の一部であったと考えられています。

その後の地震

相模・武蔵地震の約9年前には、869年に貞観地震が発生し、また9年後の887年には仁和地震が発生しました。このように、相模・武蔵地震は大きな地震の周期の一部であり、関東地方は昔から地震の影響を受けてきました。また、本地震から60年前の818年にも弘仁地震が発生し、液状化による大きな被害が記録されています。

地震の影響と教訓

相模・武蔵地震は、歴史的にも重要な出来事であり、地震による自然災害の影響を後世に伝える重要な記録となっています。過去の地震の教訓を基に、現代でも地震対策や防災の重要性が認識されています。地域の歴史や文化とともに、地震によるリスクを理解し、備えることが求められています。

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