相模神奈交バス

相模神奈交バス（さがみかなこうバス）

相模神奈交バスは、神奈川県相模原市を中心としたエリアでかつて路線バス事業を展開していたバス事業者です。親会社である神奈川中央交通（神奈中）が経営効率化のために設立した地域子会社群「神奈交バス」の一社として誕生しました。コーポレートカラーには青緑が採用され、保有車両には「SK」という独自の営業所記号が付与されていました。

この会社は2000年12月8日に設立されました。主な事業内容は、神奈中本体が運営する路線バスのうち、比較的採算性の低い路線を引き継ぎ、運営を効率化することでした。また、神奈中本体が担当する一部路線の運行管理業務を受託することも重要な業務の一つでした。本社は神奈川県相模原市緑区西橋本にある、神奈中バス相模原営業所の峡の原操車所構内に置かれていました。

設立以降、いくつかの運用上の変更や時代に合わせたサービス導入が行われました。2008年12月21日には、交通系ICカードであるPASMOのサービスを開始し、利用者の利便性を向上させました。一方で、普及が進んだICカードに代わり、2010年3月31日をもってバス共通カードの販売を終了しています。バスの乗降方法についても変更がありました。相模原営業所管内では2013年10月28日から、それまで一般的だった「前乗り・前降り」方式を改め、「中乗り・前降り」方式に移行しました。さらに、厚木営業所管内でも同様の変更が2014年3月24日に実施され、サービスエリア内の乗降方法が統一されていきました。

相模神奈交バスの事業は、自社路線の運行だけでなく、他社局からの運行受託にも及びました。特筆すべきは、2011年4月1日から開始した川崎市バス菅生営業所の運行管理受託です。これは神奈中グループ全体としても初めての試みであり、他社局の営業所運営を丸ごと任されるという画期的な事例でした。この受託業務は、後継会社である神奈川中央交通東に引き継がれた後、2017年3月25日をもって解除され、翌日からは川崎市交通局の直営に戻っています。

相模神奈交バスが担当していた営業所は複数ありました。本社所在地と同じ敷地にあった相模原営業所（神奈中相模原営業所峡の原操車所）では、神奈中本体の操車所全体の管理を受託していました。東京都町田市にある町田営業所（神奈中町田営業所）では、神奈中の町田営業所が運行する系統の一部や便の一部について、管理および運行を受託していました。神奈川県厚木市にある厚木営業所（神奈中厚木営業所上荻野操車所）でも、相模原と同様に神奈中本体の操車所全体の管理を受託していました。そして、前述の通り、川崎市宮前区にある川崎市交通局菅生営業所の全体管理も受託業務に含まれていました。

保有していた車両は、ほとんどが神奈川中央交通からの転属車両でした。メーカー別では三菱ふそう製の車両が大半を占めていましたが、一時期導入されたUDトラックス（旧：日産ディーゼル）からのOEM供給車も比較的多く運用されていました。新車導入も少数ながら行われ、2016年には三菱ふそう製のエアロスターノンステップバスが相模原営業所の峡の原操車所に2台導入されました。しかし、これら神奈交独自の青緑色に塗られた車両は、同年12月には神奈中本体カラーに準じたラッピングが施され、その姿を消しました。厚木営業所には、UDトラックス製のワンステップバスやノンステップバスのほか、自転車をそのまま搭載できる特殊な「自転車ラックバス」も配置されていました。相模神奈交バスが運用していたこれらの車両は全て、2017年の会社再編に伴い、後継会社である神奈川中央交通東へと引き継がれています。

相模神奈交バスとしての歴史は、2017年1月1日をもって幕を閉じました。この日、神奈中グループでは大規模な会社再編が実施され、相模神奈交バスは藤沢神奈交バスと合併し、新たに「神奈川中央交通東」と社名を変更しました。これにより、地域子会社としての相模神奈交バスは法人としては消滅し、その事業は神奈川中央交通東の一部として継承されることになりました。この再編では、他の神奈交バス各社も同様に組織改編が行われ、神奈川中央交通グループ全体の体制が大きく変化しました。

もう一度検索