相浦川

相浦川（あいのうらがわ）

相浦川は、長崎県の北松浦半島南西部、相神浦谷を西へと流れ、美しい南九十九島へと注ぎ込む二級河川です。流域の全域が長崎県佐世保市に属しており、長崎県内の河川の中では、流路延長で3位、流域面積で5位という規模を誇ります。

地理

相浦川は、北に隣接する佐々川と同様に西へと流れ、多くの支流が合流する地形となっています。

佐世保市街地の北東に位置する国見山系の八天岳（標高707m）や隠居岳（標高670m）を水源としています。源流部は、国見山系の溶岩台地に樹枝状の深い谷を刻んでいます。本流は、川谷貯水池で一旦貯水された後、北西へと流れ、柚木地域の盆地へと入ります。

柚木地域では、北東方向から流れてくる牟田川をはじめ、多くの支流が本流に合流します。その後、川は大野、皆瀬、中里と西へと流れ、皆瀬では北から小川内川が合流します。中里からは南西方向へと向きを変え、両岸には広大な水田が広がります。相浦地域に入ると、再び住宅地の中を流れ、南九十九島へと注ぎ込みます。

流域には、川谷、相当、転石、山の田、才牟田、大里見、菰田といった貯水池が点在しており、佐世保市の上水道用水として重要な役割を果たしています。また、農業用水を確保するための灌漑用ため池も多く見られます。

上流部の柚木地区には、ゲンジボタルの生息地があり、5月から6月頃にかけて美しい光を放つ成虫の姿を見ることができます。かつては流域に甌穴（ポットホール）も多く存在していましたが、河川改修の過程でそのほとんどが失われてしまいました。

下流の相浦町付近では、江戸時代に新田開発が盛んに行われました。現在では、相浦の町並みのほか、佐世保市総合グラウンドや陸上自衛隊相浦駐屯地などが立地しています。また、橋が架けられる前に作られた飛び石が1ヶ所残っており、当時の面影を伝えています。

参考文献

長崎県土木部河川課 ながさきの水辺
角川日本地名大辞典編纂委員会編『角川日本地名大辞典 42 長崎県』1987年 ISBN 9784040014203

関連項目

佐世保鉄道 - 現在の松浦鉄道西九州線の前身。最初の路線が相浦川に沿って敷かれました。
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