相浦地域

相浦地域

概要

相浦地域は、長崎県佐世保市の西部に位置する中核地域であり、旧北松浦郡相浦町にあたります。相浦川沿いから俵ヶ浦半島にかけて広がる相神浦谷周辺は、旧石器時代から縄文時代にかけての遺跡が数多く存在する場所です。泉福寺洞窟や岩下洞穴などの岩陰遺跡のほか、門前遺跡、竹辺遺跡群、小野遺跡群、大潟遺跡群などから、膨大な量の縄文土器、石鍋、石器類が出土しています。これらの出土品は、縄文土器の編年研究に大きく貢献しました。

特に門前遺跡では、国内最古級の木棺墓、胴張形掘立柱建物跡、透かし彫り装飾板などが見つかっています。また、大型石斧は北松浦半島の縄文人によって朝鮮半島に持ち込まれ、最古の遺物の一つとされています。相浦地域は、古くから対外貿易の拠点としても重要な役割を果たしていました。

歴史

古くは「相神浦」「相ノ浦」とも呼ばれ、平安時代から鎌倉時代にかけては相神浦氏の拠点でした。室町時代以降は宗家松浦氏が拠点を置きましたが、戦国時代には分家の平戸松浦氏との戦いに敗れ、その所領となりました。江戸時代には伊能忠敬が全国測量の途中でこの地を訪れ、歌を詠んでいます。

大潟町には、水銀鉱山（白玉山・高岳）があり、江戸時代末期に水銀が採掘されていました。この水銀鉱は、自然水銀、辰砂、黒辰砂、角水銀鉱の4種全てを産出する、日本で唯一の場所です。特に自然水銀は手のひらで掬えるほど湧き出し、角水銀鉱は海に面した相浦地域特有のものです。

現在の相浦地域は、1889年に相神浦村山口村と相神浦村新田村が合併して北松浦郡山口村として発足しました。1930年には町制を施行し相浦町となり、1938年に佐世保市に編入されました。

明治時代以降、昭和30年代頃までは北松炭田からの石炭積み出しで栄えました。松浦鉄道西九州線の前身である佐世保鉄道は、もともと相浦港への石炭輸送のために建設されました。炭鉱閉山後は、長崎県立大学や総合グラウンドが建設され、佐世保中心街のベッドタウンとして住宅開発が進んでいます。

地理

相浦地域は、愛宕山や弓張岳などの山々に囲まれ、相浦川、新田川、蛭子川などの河川が流れています。九十九島の一部も含まれており、高島、黒島など多くの島々が点在しています。相浦港は、地域の重要な港湾です。

町名

相浦地域には、以下のような町名があります。

1952年設置

上相浦町: 相浦駅を中心に放射状の道路が整備され、公的機関や教育施設が集まる住宅街です。
木宮町: 県道と相浦川に挟まれた細長い土地で、商店や医院が集中する昔ながらの住宅街です。

1958年設置

相浦町: 相浦港を中心とした漁港・港町で、商店街や銀行が集まっています。
浅子町: 浅子半島全体に位置し、カトリック信徒が多い地域です。
愛宕町: 愛宕山の東半分から相浦川左岸に広がり、平地には相浦警察署があります。
大潟町: 大崎半島全体を占め、陸上自衛隊相浦駐屯地や野鳥観察地などがあります。
小野町: 弓張岳などの西山麓に広がり、斜面地には棚田や畑が広がります。
川下町: 相浦川河口近くの旧干拓地で、佐世保総合グラウンドや長崎県立大学などがあります。
椎木町: 相浦川河口部から丘陵地まで広がり、住宅や商業施設、教育機関があります。
新田町: 上相浦駅裏から丘陵地にかけて広がり、住宅街や水田があります。
高島町: 相浦港からフェリーで約30分の高島に位置し、養殖業が盛んです。
竹辺町: 山林地帯で、中世には武辺城がありました。
棚方町: 愛宕山の西麓から北麓にかけての斜面地で、相浦ニュータウンがあります。
長坂町: 日野峠を経て佐世保市街地に接し、旧道沿いに家並みが続いています。
光町: 相浦発電所が大部分を占め、真申駅周辺に住宅地が集中しています。
日野町: 東西に長く、牽牛崎周辺の住宅地、ロードサイドショップが並んでいます。
母ヶ浦町: 谷間に集落があり、農村風景が広がります。

1990年設置

星和台町: 星和台団地として開発され、住宅街が広がっています。

交通

バス: 西肥自動車、させぼバスが運行。
鉄道: 松浦鉄道西九州線が通り、真申駅、棚方駅、相浦駅、大学駅、上相浦駅があります。
道路: 国道204号、長崎県道11号、長崎県道139号、西九州自動車道が通っています。

施設

相浦地域には、佐世保市役所相浦支所、相浦警察署、佐世保西消防署、郵便局、野球場、総合グラウンド、文化センターなどの公共施設があります。また、相浦発電所、長崎県立大学、長崎短期大学、高等学校、中学校、小学校など多くの教育機関があります。商業施設も充実しており、スーパーマーケット、ホームセンター、飲食店などが点在しています。陸上自衛隊相浦駐屯地や城島健司ベースボール記念館などもあります。

出身著名人

村田善則 (野球選手)
城島健司 (野球選手)
溝上知親 (囲碁棋士)

参考文献

角川日本地名大辞典 42 長崎県
町の新設並びに免字廃止の件 昭和33年2月25日告示第5号（佐世保市例規集）

関連項目

佐世保市の地名
旧石器時代の遺跡一覧
縄文時代の遺跡一覧
石鍋
* 佐世保要塞

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