相田二郎

相田二郎（あいだ じろう）

相田二郎は、1897年（明治30年）に神奈川県足柄下郡早川村（現在の小田原市）に生まれ、1945年（昭和20年）に49歳でその生涯を閉じました。彼は日本の歴史学者として、特に日本中世史と古文書学の分野で多大な功績を残しました。東京帝国大学史料編纂官として、古文書の研究と教育に尽力し、その業績は今日でも高く評価されています。

生涯と学歴

相田は、神奈川県立小田原中学校、第四高等学校を経て、1923年に東京帝国大学文学部国史学科を卒業しました。卒業論文では「土地沽却上の支拂品より見たる銭貨の流通状態　王朝時代鎌倉時代」をまとめ、早くから歴史研究への強い関心を示しました。大学院に進学すると同時に、東京帝国大学文学部史料編纂掛の嘱託となり、研究者の道を歩み始めます。1927年には史料編纂官補に任命され、有栖川宮奨学金を受けました。1930年からは東京帝国大学文学部講師として古文書学の講義を担当し、1933年に史料編纂官に昇進しました。

研究活動

相田は、生涯にわたり史料編纂掛に所属し、『大日本古文書』の編纂に携わりました。また、黒板勝美のもとで日本古文書学の体系化に尽力しました。黒板の著作集である『虚心文集』に収録された「古文書学概論」は、相田が受講者のノートをまとめたものとされています。さらに、広島文理科大学や九州帝国大学法文学部でも古文書学の講義を行い、多くの研究者を育成しました。

相田の研究活動は、大学での教育だけでなく、実際の史料調査にも及びました。石清水八幡宮史、静岡県史、沼津市史の編纂に携わったほか、皇室関係の調査委員（東山御文庫・歴代宸翰の調査委員、臨時陵墓調査委員）、東京都史蹟名勝天然紀念物調査嘱託なども兼任しました。史料探訪と調査への情熱は深く、その足跡は12府県にも及んでいます。特に、出身地である神奈川県の中世文書調査・研究は、『新編相州古文書』としてまとめられ、地域史研究に大きな貢献をしました。

晩年

太平洋戦争中の1944年、相田は史料編纂掛の図書疎開のため長野県に出張しました。終戦間際の1945年6月に病に倒れ、49歳という若さでその生涯を閉じました。

主要業績

相田二郎は、数多くの著作や論文を発表し、その研究成果は後世に大きな影響を与えました。

「小田原合戦」：高柳光寿編『大日本戦史』（1962年）に所収（1938年）
『中世の関所』（畝傍書房、1943年）
『新編相州古文書』（神奈川県郷土研究会、1944年）
『日本の古文書』上・下（岩波書店、1949年・1954年）
『蒙古襲来の研究』（吉川弘文館、1958年）
『小田原合戦 - 豊臣秀吉の天下統一と北条氏五代の滅亡』（名著出版、1976年）
『相田二郎著作集』全3巻（1976年 - 1978年）

参考文献

相田二郎の研究や人物像については、以下の文献で詳しく知ることができます。

「相田二郎追悼特輯」『歴史地理』88-4（1958年）
署名なし「相田二郎氏履歴」『歴史地理』第88巻第4号、日本歴史地理学会（1958年）
永原慶二『20世紀日本の歴史学』（吉川弘文館、2003年）
西岡「彙報 東大卒業論文」『歴史地理』第41巻第4号、日本歴史地理学会（1923年）

外部リンク

城と古戦場-史料批判

相田二郎は、その生涯を通じて古文書学の発展に貢献し、多くの歴史研究者に影響を与えました。彼の業績は、今日の歴史学研究においても重要な基礎となっています。

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