相良正任

相良正任（さがら ただとう）は、室町時代後期から戦国時代初期にかけての武将です。周防国・長門国（現在の山口県）を治めた守護大名である大内氏の家臣として活躍しました。肥後国（現在の熊本県）の有力国人領主であった相良氏の一門、中でも多良木相良氏（上相良氏）の一族に属すると考えられています。

生涯

文安5年（1448年）に起こった相良氏の内戦「雀ヶ森の戦い」において、相良頼観（さがら よりみ）が相良長続（さがら ながつぐ）によって討たれました。相良正任は、この頼観の嫡子であった相良鬼太郎（さがら きたろう）ではないかと推測されています。若くして大内氏に仕えることになった経緯は定かではありません。

大内政弘（おおうち まさひろ）に才能を認められ、側近として仕え、祐筆（書記）を務めました。政弘の死後は、その嫡男である大内義興（おおうち よしおき）を補佐し、義興の治世初期には奉行人を務め、政治手腕を発揮しました。奉行人としての具体的な活動は記録に残っていませんが、大内氏の勢力拡大に貢献したと考えられます。

相良正任は、武将としてだけでなく、文化人としても優れた才能を持っていました。息子の相良武任（さがら たけとう）と同様に風流人であり、有職故実（朝廷や武家の儀式・制度に関する知識）に精通していました。また、和歌や連歌にも秀でており、文人としての側面も持ち合わせていました。その知識と教養は、大内氏の文化的な発展にも貢献したと考えられます。

著書として日記『正任記（ただとうき）』があり、当時の社会情勢や文化、大内氏の動向を知る上で貴重な資料となっています。この日記からは、正任の教養の高さや、彼が置かれていた立場を垣間見ることができます。

明応4年（1495年）に下関市住吉神社で行われた法楽百首和歌会において、三条西実隆（さんじょうにし さねたか）が序文を書き、相良正任と杉武明（すぎ たけあき）が連署した添え状が現存しています。この短冊は国の重要文化財に指定されており、当時の文化交流や正任の文化的影響力を示すものとして貴重です。

参考文献

戦国大名家臣団事典 西国編

関連項目

相良氏

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