相鉄6000系電車

相鉄6000系電車は、1961年（昭和36年）から相模鉄道（現・相鉄ホールディングス）が導入した通勤形電車です。1961年から1970年まで製造された6000系と、1970年から1974年まで製造された新6000系に大別されます。この2つのグループは、車体の形態や電装品に大きな違いがあります。

概要

1955年（昭和30年）に登場した初代5000系は、当時の最新技術を導入した高性能電車でしたが、高度経済成長に伴う輸送力増強の必要性から、20m長の大型車体を持つ6000系が開発されました。この6000系は、実用性に優れた新しい高性能車として、相鉄の輸送を支え、沿線開発に大きく貢献しました。

6000系（旧6000系）

概要

1961年から1970年にかけて120両が製造されました。初期コストと保守コストを考慮した設計で、車体や機器には気動車に通じる合理的な構造が採用されています。最短2両編成から1両単位での増備が可能でした。新6000系とは車体幅や走行機器が異なりますが、併結運転も可能でした。

車体

相鉄の自社開発車両として初めて20m長の大型車体と両開き4扉を採用しました。直線的なデザインで、先頭車には貫通扉が設置され、編成内での通り抜けが可能になりました。側窓は前後非対称の配置で、関東地区の鉄道事業者では珍しいものでした。登場時の車体色は紺色でしたが、後に緑色に変更されました。1979年からは冷房化工事が行われ、1986年までに全車が冷房車となりました。

モハ6021

1967年 7月には、日立製作所製のアルミニウム合金車体試作車であるモハ6021が登場しました。これは相鉄初のアルミ車体で、他の普通鋼製車両と連結して運用されました。この車両を基礎として、後の2100系・5000系・7000系がアルミ車体で製造されました。アルミ素材の使用により、車体重量は約4.5t軽量化されました。塗装はアルミ地を活かしたクリア色で、正面には視認性を高めるために赤色のアクセントが加えられました。

車内設備

座席は全てロングシートで、生地の色は緑色（登場時は紺色）でした。車内は薄い青緑色の寒色系でまとめられ、天井には扇風機が設置されていました。客用ドアは両開き扉で、輸送力増強に貢献しました。

走行設備

動力車1両で運転に必要な機器を搭載し、付随車を組み込む設計に変更されました。主電動機は日立HS-514系を採用し、抵抗制御方式でした。ブレーキ装置は電磁直通弁式電磁直通ブレーキで、応荷重制御機構を備えていました。車軸への動力伝達方式は直角カルダン駆動方式が採用され、台車はいずれも枕ばねに空気ばねを使用したウィングばね式でした。

保安装置

1968年に発生した衝突事故を教訓に、自動列車停止装置（ATS）が設置されました。

形式

モハ6000形: 横浜向きの運転台を持つ制御電動車
モハ6100形: 運転台を持たない中間電動車
クハ6500形: 海老名向きの運転台を持つ制御車
サハ6600形: 中間付随車

更新工事

ヘッドライトの2灯化
冷房装置の搭載
運用番号・列車種別表示器の新設
側面扉のステンレス化
塗装の緑色系への変更
連結面への貫通扉設置

廃車とその後

1992年以降、8000系・9000系の増備により廃車が開始され、1997年5月までに全車が引退しました。トップナンバー車両のモハ6001とアルミ車体試作車のモハ6021は、かしわ台車両センターで静態保存されています。

新6000系

概要

旧6000系の実績を元にモデルチェンジした車両で、1970年から1974年まで70両が製造されました。車体や走行機器類が大きく変更され、新6000系と呼ばれます。アルミ車体の優位性が確認されたことから、7000系に移行しました。

車体

普通鋼製の20m長で、両開き4扉タイプの通勤型です。車体幅が旧6000系よりも広く、当時日本最大級の2,930mm幅でした。車体下部を絞った「裾絞り」デザインで、正面には種別表示器と運行番号表示器が設置されました。相鉄最初の冷房車であり、量産冷房車には旧6000系同様の冷房装置が搭載されました。

車内設備

座席は全てロングシート式です。内装の配色には製造された年代によって異なり、緑系とオレンジ系の2種類がありました。窓の開閉は全車両が手動式でした。

走行設備

電装品は、当時建設中のいずみ野線の規格に対応した高加速度設計になっています。主電動機は日立HS-515-Arbを採用し、定格出力が増強されました。ブレーキ方式は旧6000系と同じく電磁直通弁式電磁直通空気ブレーキでした。台車は、電動車には揺れ枕式空気ばね台車、付随車にはインダイレクトマウント式空気ばね台車が採用されました。

形式

モハ6300形: 中間電動車
クハ6500形: 海老名方の制御車
クハ6700形: 横浜方の制御車

塗装・車体装飾

多くの全面塗装車や特別塗装車が存在しました。旧標準色、試験塗装車・新標準色、GreenBox号、ほほえみ号、緑園都市号、アートギャラリー号、旧塗装復活編成など、様々なデザインの車両が登場しました。

更新工事

冷房装置の搭載
* 側面扉の交換

廃車とその後

1997年3月から廃車が始まり、2003年8月までに全車が運用を離脱しました。最後の営業運転は同年11月2日のさよなら運転で、緑園都市号と旧塗装復活編成が使用されました。その後、全車が解体されました。

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