県費負担教職員

県費負担教職員制度の概要

県費負担教職員（けんひふたんきょうしょくいん）とは、市町村立の公立学校に勤務する職員で、その給与が都道府県によって負担される制度に基づく教職員を指します。この制度は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律（地教行法）第37条に規定されており、基本的には自己の市町村の職員として身分を有しつつも、給与に関しては都道府県がその責任を持ちます。このため、特に政令指定都市を除く公立小中学校の教職員の任命権は都道府県教育委員会に帰属することになります。

制度の趣旨

この制度の基本的な趣旨は、市町村立小・中学校における教職員の給与が義務的経費として多額であることを踏まえ、例外的に都道府県がその負担を行うことで、教育水準を維持・向上させることです。市町村に比べて財政的に安定している都道府県の負担によって、一定の給与水準の確保や教職員の適正配置を目的としています。

都道府県は教職員の人事を行うための任命権を持ちながらも、地域との関係を強化するために市町村の職員として身分を保つ仕組みで、教職員の交流や配置の適正を図っています。

対象

県費負担教職員の対象には、市町村が設置した小学校、中学校、中等教育学校の前期課程、特別支援学校などの校長や教職員、助教諭、講師、栄養教諭、事務職員などが含まれます。また、定時制の課程を有する高等学校に勤務する職員も対象となり、その給与は特別な規定に則って定められます。

任免の手続き

都道府県教育委員会は、県費負担教職員の任命権を有しますが、市町村教育委員会の意見を考慮して任免を行います。県費負担教職員の定数は、臨時職員を除き、都道府県の条例により定義され、給与や勤務条件に関する詳細も条例で決定されます。これに対し、中核市においては、研修に関する義務のみが都道府県から移譲される特例が存在します。

服務の監督

県費負担教職員の服務監督は市町村教育委員会が行うことになっています。職員はその業務を遂行するにあたり、法令や市町村の条例、教育委員会規則に忠実に従う必要があります。任免や懲戒に関する規定は、地方公務員法に基づき、都道府県の条例によって定めることが求められています。

国庫負担制度

義務教育費国庫負担制度により、都道府県が負担する給与に対して国もその3分の1を負担するため、財政的な安定が図られています。この仕組みは、教育政策において重要な要素とされています。

市町村費負担教職員

2006年の法改正により、市町村が独自に給与を負担し、教職員を任用することが可能になりました。これにより、地域特性を生かした教育が進められ、少人数教育や特別支援学校の臨時的な職員の採用などが行われています。

政令指定都市について

かつて、政令指定都市における県費負担教職員の任免や給与の決定などはその都市の教育委員会が担っていましたが、制度の見直しが行われました。指定都市市長会からの要望を受けて、県費負担教職員の給与負担の移譲について合意がなされ、関連の法律が整備されました。

これにより、指定都市は教職員の定数決定権や学級編成基準を自ら決定できるようになり、より実情に即した教育運営が可能となりました。これに伴い、地方の教育の自立と自由も促進されました。

まとめ

県費負担教職員制度は、教育の質を守るために設計された重要な仕組みであり、地域の特性に応じた柔軟な運用が可能です。受益者である学生たちにとって、質の高い教育が確保されることを期待される制度です。

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