真仁法親王

真仁法親王とは

真仁法親王（しんにんほうしんのう）は、江戸時代後期の1768年に生まれ、1805年に38歳で亡くなった法親王です。閑院宮典仁親王の第五王子として生まれ、幼名は時宮、俗名は周翰（ちかもと）と称しました。天台座主や妙法院の門主を歴任しました。

芸術と国学への造詣

真仁法親王は、芸術を深く愛し、円山応挙や呉春といった著名な絵師たちのパトロンとしても知られています。また、国学にも関心が高く、実の弟である光格天皇に、本居宣長の『古事記伝』を読むように勧めた書状が残っています。

京の大仏との関わり

真仁法親王が門主を務めた妙法院は、当時、日本一の高さを誇った方広寺の大仏と大仏殿を管理していました。この大仏殿は1612年に完成しましたが、真仁法親王が在任した頃には老朽化が著しく、その改修が大きな課題となっていました。

妙法院は、幕府からの借金や富くじの発行など、様々な手段で改修費用を調達しようと試みましたが、困難を極めていました。その中で、大仏の眉間に納められている「眉間籠り仏」を公開して集客を図る案が浮上しました。当初、真仁法親王は、大仏から仏像を取り外す行為を不敬であるとして反対していましたが、大仏殿の老朽化が深刻化したため、1792年に宝物開帳で眉間籠り仏を公開しました。この開帳は非常に好評で、多くの参詣者を集めました。

大仏の焼失と再建への尽力

しかし、1798年、方広寺の大仏殿は落雷が原因で全焼してしまいました。幸い、胎内仏は運び出されて無事でしたが、真仁法親王は大仏を焼失させてしまったことに責任を感じ、その再建に尽力しました。毎日焼跡に参拝して供養を行い、食事量を減らして大仏への懺悔の意を示しました。

真仁法親王は、大仏再建のために奔走しましたが、その志半ばで1805年に38歳で亡くなりました。重体の病床から、大仏再建を求める嘆願書を幕府に提出しましたが、時の将軍徳川家斉はこれに応じませんでした。真仁法親王の墓所は、妙法院宮墓地にあります。

参考文献

村山修一『京都大仏御殿盛衰記』法藏館、2003年。
『真仁法親王』 - コトバンク

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