真脇遺跡

真脇遺跡：縄文時代の息吹を感じる場所

真脇遺跡は、石川県鳳珠郡能登町に位置する、縄文時代前期から晩期にかけての集落跡です。能登半島の入江の奥に位置し、1982年からの発掘調査によってその存在が明らかになりました。この遺跡は、約6000年前から約2000年前までの人々の生活を物語る貴重な場所として、国の史跡に指定されています。

豊富な出土品が語る縄文の暮らし

真脇遺跡は、その出土品の豊富さから「考古学の教科書」とも呼ばれています。遺跡からは、厚く堆積した300体を超えるイルカの骨、長さ2.5メートルにも及ぶ巨大な彫刻柱、土偶、埋葬人骨、そして日本最古の仮面など、多種多様な遺物が見つかっています。これらの出土品は、当時の人々の生活、文化、そして精神性を今に伝える貴重な手がかりとなっています。

特に注目されるのは、大量のイルカの骨です。これは、真脇遺跡に住んでいた人々がイルカ漁を盛んに行っていたことを示しています。イルカは食用にされただけでなく、骨を再利用したり、油を採ったりするなど、様々な用途に活用されていました。また、イルカは他地域との交易にも使われたと考えられています。

環状木柱列と巨木文化

遺跡の最晩期の土層からは、円状に並べられたクリ材の半円柱が発掘されました。これは、直径7.4メートルの環状木柱列で、各々の柱を半分に割り、丸い方を円の内側に向けています。このような巨木を用いた建物や構築物は巨木文化と呼ばれ、日本海沿岸から中央高地にかけていくつか確認されています。真脇遺跡の環状木柱列は、同じ石川県内のチカモリ遺跡のものと良く似ており、当時の人々の精神世界や共同体の在り方を探る上で重要な手がかりとなります。

集団墓地遺構と労働力

2000年の発掘調査では、縄文時代中期頃の盛り土で区画された大規模な集団墓地遺構が検出されました。大量の土を動かし、それを積み上げて墓を造るという共同作業は、当時の人々の労働力を結集した結果と言えるでしょう。また、板敷き土壙墓からは、仰臥屈葬による人骨が発見され、当時の葬送儀礼を知る上で貴重な資料となっています。

遺跡の保存と活用

真脇遺跡は、現在真脇遺跡公園として整備され、園内の真脇遺跡縄文館では、重要文化財に指定された出土遺物を中心とする資料が展示公開されています。また、体験学習館や縄文真脇温泉、宿泊可能な研修施設なども併設されており、考古・歴史学習の場として、また地域住民の憩いの場として活用されています。

真脇遺跡は、縄文時代の文化や技術、そして人々の暮らしを垣間見ることができる貴重な遺跡です。能登を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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