真言宗泉涌寺派

真言宗泉涌寺派について

真言宗泉涌寺派（しんごんしゅうせんにゅうじは）は、日本の真言系仏教の一つで、古義真言宗に属する宗派です。総本山の泉涌寺は、長い歴史を持ち、独自の文化と教義を育んできました。

歴史的背景

泉涌寺派の形成は、俊芿（しゅんじょう、月輪大師〈がちりんだいし〉）が泉涌寺を密宗、禅宗、律宗、浄土宗の四つの教えを学ぶ道場へと発展させたことに始まります。この教えは、宗派の特徴を形成する重要な要素となり、泉涌寺は皇室の御陵所としても利用され、歴史的に深い皇室との関わりを持っています。

しかし、明治時代に入ると、皇室からの支援が失われ、財政が困難な状態に直面しました。さらに、政府の宗教政策により、1872年には四宗兼学が廃止され、真言宗に統合されることとなりました。その後、1879年に他の真言宗宗派と合同し、東寺の管下に組み込まれる一時期もありましたが、1907年には泉涌寺を本山とする独立派として再び自立します。

1941年には政府の政策により古義真言宗と新義真言宗系の他宗派と合同し、「大真言宗」が結成されましたが、戦後は大真言宗から独立し、1952年には宗教法人としての認証を受けるに至りました。これにより、真言宗泉涌寺派は法的にも確立された地位を持つようになりました。

組織構成

真言宗泉涌寺派の組織は以下のようになっています。管長は泉涌寺の長老職を兼任し、宗議会は末寺の代表から選ばれた5名によって構成されており、任期は4年です。各種行事や運営は、庶務部、法会部、教学部、また財務部といった部門で実施されています。地方教区は存在していませんが、「御寺泉涌寺を護る会」という支援団体が活動しています。

また、主要な施設には総本山の泉涌寺、別院の雲龍院、大本山の浄土寺や法楽寺、さらにはその他の寺院があります。これらの寺院は、泉涌寺派の教義や文化を育む場所としての役割を果たしています。

僧籍と教員制度

泉涌寺派には、15の僧階があり、最高位は大僧正、下位には権律師が存在します。種智院大学を卒業した者は、権僧都の資格を得ることができ、住職資格を取得するためには一定の条件を満たす必要があります。

教育機関と活動

派内の教育機関としては、種智院大学や洛南高等学校・附属中学校があり、これらの学校は共に経営されています。また、華道、煎茶道、香道などの伝統文化も後継者に引き継がれ、学びの場として機能しています。

用語と行事

年中行事では、派祖遠忌が50年ごとに行われ、教義に基づいた法会が開催されます。布教活動として、教学講習会が毎年8月に行われ、全国に広がる教えを広める活動が行われています。実際に、海外の直営寺院は持っていませんが、北米地域での自主開教を行っています。

まとめ

真言宗泉涌寺派は、歴史・文化・教義の面において深い伝統を持つ宗派です。これからも、その独自性を保ちながら、信者や地域社会に対して仏教の教えを伝えていくことが求められます。

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