真言院 (平安宮)

真言院の概要

真言院（しんごんいん）は、平安京の大内裏（平安宮）に位置した公的な密教道場で、現在の京都市上京区稲葉町近隣にあたります。この道場は、平安時代における宗教的および文化的な重要な拠点として知られています。

位置と歴史的背景

真言院は内裏の南西に位置し、中和院の西側、豊楽院の北に隣接していました。この院は、毎年正月に実施される「後七日御修法」という重要な儀式が行われていたことで知られます。この儀式は、空海の提案により承和元年（834年）12月に設置され、その際には唐の内道場をモデルにして、勘解由使の庁舎を利用していました。文献の中では「宮中真言院」、「修法院」、「曼陀羅道場」といった名称でも言及されています。

建物と構造

真言院の周囲は築垣に囲まれており、四方にはそれぞれ東西南北の4つの門が存在しました。内部には身舎に2壇が設置され、東、西、北の各廂には聖天壇、息災壇、増益壇の3つの壇が配されています。南庭には神供所の小壇があり、施設の中には長者坊、護摩堂、伴僧宿所、厨所、雑舎といった他の構造物も存在していました。

儀式と規定

平安時代の延長5年（927年）に成立した『延喜式』では、真言院で行われる御修法の日程が詳細に規定されていました。この御修法は、国の重要な宗教儀式の一部として位置付けられていました。

再興と衰退

真言院は、その後、永祚元年（989年）に倒壊し、さらに治承元年（1177年）には火災により焼失してしまいます。しかし、永享4年（1432年）には室町幕府6代将軍・足利義教の手によって再興され、再び後七日御修法が行われていました。長禄時代（1457-1460年）までは活動が続けられましたが、寛正年間（1460-1466年）になると、紫宸殿での儀式に取って代わられたため、真言院は次第に荒廃していきました。

機能の継続

それでも、内裏が荒廃してからも、真言院は東寺の支援や密教道場の聖性を背景に機能を続けました。そのため、同じく室町期まで存在していた神祇官や太政官庁、神泉苑と並んで、特異な存在として位置付けられています。

真言院の歴史は、日本の仏教の発展における密教の重要性や、平安時代の宗教儀式の様相を反映しており、当時の人々の信仰心を理解するためには欠かせない場所となっています。

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