瞬獄殺

ストリートファイターシリーズにおける最強技「瞬獄殺」の全貌

カプコンの対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズにおいて、最も有名で強力な必殺技の一つに数えられるのが「瞬獄殺」です。 豪鬼や、殺意の波動に目覚めたリュウといった、特殊な力を持つキャラクターだけが使用できる、極めて特徴的な技として知られています。そのインパクトのある演出は、他のゲームや漫画にも多大な影響を与え、格闘ゲームの歴史に名を刻む技と言えるでしょう。

誕生と初期

「瞬獄殺」は、『スーパーストリートファイターII X』で豪鬼がベガを瞬時に倒す演出として初めて登場しました。その後、この演出を必殺技として実装する指示が出され、誕生した経緯を持ちます。当初は技名がなく、「ベガ殺し」という通称でプレイヤーの間で呼ばれていました。プレイヤーが実際に使用できるようになったのは、『ストリートファイターZERO』と『ストリートファイター ザ・ムービー』からで、ほぼ同時期に稼動開始されたこれらの作品において、「瞬獄殺」がプレイアブルな必殺技として実装されました。ただし、これらの初期作品では、瞬獄殺で相手を倒しても背景に「天」の文字は表示されませんでした。

技の動作と演出

「瞬獄殺」の基本的な動作は、以下の通りです。

1. 使用キャラクターが特殊な移動をします（作品によって異なりますが、『ストリートファイターIV』以前は特別な構えを必要としませんでした）。
2. 相手に接触すると、画面が一瞬で光（または闇）に包まれます。
3. 画面が真っ白（または真っ黒）になる中で、無数の攻撃ヒットエフェクトと打撃音が発生します。
4. 画面が戻ると、相手は倒れており、使用キャラクターは背中を向けて立っています。
5. 特定の条件下では、使用キャラクターの背中に「天」や「滅」といった文字が表示されます。

暗転中の具体的な攻撃方法は不明瞭ですが、いくつかの作品では解釈が提示されています。例えば『ストリートファイターZERO3』では、「数多の瞬きの内に地獄を見せ、己の罪業の重さで自分を殺める技」と表現され、『RYU FINAL』では「強烈な拳打が当たった瞬間、相手の体内に波動拳を直接打ち込み、それを破裂させる攻撃を無数に放つ技」と解釈されています。『ストリートファイターV』以降の作品では、暗転中の動作がゲーム内で実際に描写されるようになり、高速で相手を回転攻撃する様子が確認できるようになりました。

コマンドと特殊効果

『ストリートファイターZERO』における「瞬獄殺」のコマンドは「弱パンチ・弱パンチ・レバー前・弱キック・強パンチ」と、当時の格闘ゲームとしては非常に特殊なものでした。このコマンドは『ヴァンパイア』シリーズのモリガン・アーンスランドの必殺技「ダークネスイリュージョン」と同一であり、「豪鬼ネスイリュージョン」という通称も存在しました。作品によってはコマンドが一部省略されたり、変更されたりする場合もあります。

瞬獄殺で相手を倒すと、背景に「天」の文字が表示されるなど、派手な演出が発生します。また、作品によっては、暗転した画面に炎や光で描かれた「天」が表示されるなど、バリエーションがあります。基本的には掴み技のため連続技には組み込めませんが、『ストリートファイターIII』シリーズなど、一部作品では連続技として成立する場合があります。ゲージ消費は作品によって異なり、多くの場合、ゲージを全て消費します。

バリエーションとパロディ

「瞬獄殺」は、殺意の波動を身につけたキャラクターが使用するという設定から、豪鬼以外に殺意の波動に目覚めたリュウも使用できます。さらに、『ポケットファイター』の「瞬獄殺」は、豪鬼のコスプレ姿が演出に含まれるなど、コミカルなアレンジも存在します。その他、多くの派生技や類似技が、シリーズを通して登場しています。その特徴的な演出から、他のカプコン作品だけでなく、他社作品や、ボイスチャットツール『Discord』など、様々な作品でパロディとして使用されています。

評価

ゲームポータルサイト「IGN Japan」では、「豪鬼の代名詞とも言える」と評され、ベスト必殺技の第1位に選ばれています。お笑いタレント・ゲームクリエイターの野田クリスタル氏も、「瞬獄殺」のコマンド入力の難しさから、自身のゲーム『コマンド長すぎだぜ！技 出なさすぎ君』を制作したエピソードがあります。

「瞬獄殺」は、その派手な演出と強力な効果、そして独特のコマンド入力で、多くのプレイヤーに強烈な印象を与え、格闘ゲームにおける伝説的な技として、今もなお語り継がれています。

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