RYU FINAL

RYU FINAL (リュウ・ファイナル) 解説

『RYU FINAL』（リュウ・ファイナル）は、漫画家・中平正彦氏によって描かれた格闘漫画作品です。1997年から1998年にかけて、ゲーム雑誌『ゲーメスト』（新声社）にて連載されました。正式タイトルは『STREET FIGHTER III RYU FINAL -闘いの先に-』（ストリートファイタースリー リュウ・ファイナル たたかいのさきに）です。

概要

本作は、カプコンの人気対戦型格闘ゲーム『ストリートファイターIII』を原案として、作者である中平正彦氏が独自の解釈と構成を加えて描いた漫画作品です。

『ストリートファイター』シリーズを通して主人公的な存在であったリュウの物語の結末が描かれています。しかし、本作は中平氏の過去作品である『ストリートファイターZERO』や『さくらがんばる!』の続編という位置づけも持ち合わせており、これらの作品に準拠した設定や描写も多く見られます。

単行本情報

本作は、以下の形態で単行本が出版されています。

新声社・ゲーメストコミックス
新声社の倒産後は入手困難となっています。
巻末には、『特別番外編』として『さくらがんばる!』に登場する神月かりんを主役とした描き下ろし漫画『THE KANZUKI〜万事において常に勝利者であるべし〜』が収録されています。
『天の巻』1999年2月10日 ISBN 4-88199-583-9
『地の巻』1999年3月10日 ISBN 4-88199-584-7
集英社ジャンプリミックス（SJR）（コンビニコミック）
『ストリートファイターII-3』2007年5月7日 ISBN 978-4-08-109397-7
上記の『THE KANZUKI〜万事において常に勝利者であるべし〜』は、先に発売されたSJR『ストリートファイターII-2』（『さくらがんばる!』の再録）に収録されたため、こちらには収録されていません。2012年11月2日には、『ストリートファイター』シリーズ25周年記念として第2刷が発売されました。
復刊ドットコム
『ストリートファイター RYU FINAL -闘いの先に- 新装版』2018年12月10日 ISBN 978-4-8354-5620-1
『さくらがんばる!』『ストリートファイターZERO』に続いて新装版として発売されました。上記SJR版と同様に『THE KANZUKI〜万事において常に勝利者であるべし〜』は、先に発売された『さくらがんばる! 新装版』に収録されたため、こちらには収録されていません。それ以外の番外編を含む全てのエピソードとカバーイラストコレクションを収録。
新たに、先に発売された『ストリートファイターZERO 新装版』に続き、『CAMMY外伝』の後編も特別収録されました。さらに、復刊ドットコムおよびイーカプコン早期購入特典として、1994年に発売された単行本『劇場用アニメーション ストリートファイターII』より再録となる『CAMMY外伝 Special Episode』が小冊子として付属しました。

あらすじ

日々修行に励むリュウは、「真の格闘家」への道を追い求めていました。そんな中、同門の親友であるケン・マスターズは、リュウに先んじて「真の格闘家」としての答えを見つけ出します。それは、家族のために拳を振るうというものでした。

リュウは、自身が何のために拳を振るうのかを模索しながら旅を続けます。その道中で、謎の仙人であるオロと出会い、彼に導かれるように、巨人レスラーのヒューゴーや、若き拳法家の兄弟であるユンとヤンなど、様々な格闘家たちと拳を交わします。そして、ボクサーの強敵であるダッドリーとの戦いを通じて、ついに一撃必殺の境地である「風の拳」へと辿り着きます。

それは相手を「倒す」ためではなく、「勝つ」ための力であり、リュウが見出した「真の格闘家」としての答えでした。かつて倒した宿敵であるサガットとの再戦を果たしたリュウは、最後の戦いへと向かいます。その相手は、リュウの過去の記憶に深く刻まれた「真の格闘家」であり、同時に「殺意の波動」という死と破壊をもたらす力の使い手であるゴウキでした。リュウは「殺意の波動」への道を断ち切るため、すべての始まりの場所である「朱雀城」でゴウキとの決着をつけます。

死闘の末、リュウは重傷を負いながらもゴウキの奥義である「瞬獄殺」を破り、「風の拳」によって勝利を掴みます。自らの「殺意の波動」に飲み込まれながら崩壊していくゴウキは、リュウに「子」を、すなわち次の世代を育むように言い残し、炎の中に消えていきます。それと同時に、リュウもまた力尽き、ここに彼の旅路は終わりを迎えるのでした。

そして時は流れ、かつてリュウに敗れた若者であるアレックスは、自らの内に残るものが何なのかを知るため、再びリュウと会うことを望んでいました。それを見たケンは、リュウの鉢巻をアレックスに託し、朱雀城跡へと向かうように勧めます。そこでアレックスが見たものは、雄々しく悠然と佇むリュウの姿でした。リュウがアレックスに語りかけるところで、物語は幕を閉じます。

登場人物

本作では、原作ゲームに登場する「組織」関係者などの一部キャラクターは登場せず、リュウと志を同じくする純粋な格闘家たちが中心に描かれています。

リュウ: 「真の格闘家」への道を追い求める本作の主人公。様々な格闘家との出会いを通じて、自身にとっての「真の格闘家」を見出していきます。
ケン・マスターズ: リュウの親友でありライバル。物語冒頭でリュウがアメリカを訪れた際、妻のイライザや息子のメルと共に登場し、組手でリュウを圧倒します。
ギル: 歴史を裏から支配する秘密結社の総統であり、ゲーム『ストリートファイターIII』のボスキャラクター。物語のプロローグにてケンの挑戦を受け、圧倒的な力で一度は打ち倒しますが、家族の願いを悟ったケンが再起し、敗北します。
ゴウキ: 「殺意の波動」の使い手であり、リュウが乗り越えるべき存在。物語終盤でリュウと死闘を繰り広げます。

その他

連載誌であった『ゲーメスト』は、誤植が多いことでも知られており、本作にも誤植が見られました。しかし、これらの誤植は単行本化の際に修正されています。

もう一度検索