矢島祐利

矢島 祐利について

矢島祐利（やじま すけとし）は、1903年5月2日に栃木県安蘇郡界村（現在の佐野市）に生まれ、1995年8月12日に帰らぬ人となった日本の科学史家です。彼の生涯は日本の科学史の発展と共にあり、多くの業績を残しています。

学歴と経歴

矢島は中学校卒業後、旧制一高を経て東京帝国大学に進学しました。大学では中村清治、寺田寅彦、田丸卓郎などの指導を受け、1926年に理学部物理学科を卒業。その後、東京帝国大学の工学部で講師として教鞭を執ります。1941年から1945年までは京城帝国大学の教授に就任し、戦後はGHQに勤務。1949年からは東京物理学校の講師となり、1950年には東京理科大学の教授に就任しました。1969年には「電磁理論の発展史」により、東京理科大学から理学博士の学位を取得。また、1973年に定年を迎え、東京理科大学の名誉教授となります。国際科学史アカデミーの会員でもあります。

主な業績

彼の業績は主に翻訳や著作に表れています。矢島はファラデーの『ロウソクの科学』を翻訳し、広く紹介した他、江戸時代やアラビアの科学の歴史についても研究を行ってきました。彼の研究は電磁気学から物理学史に至るまで多岐にわたり、科学史における重要な貢献を果たしました。

著作

矢島祐利の著作には以下のようなものがあります。

1. 『科学者と科学』（1930年、鉄塔書院）
2. 『近世物理学史序説』（1931年、鉄塔書院）
3. 『ファラデー』（1940年、岩波新書）
4. 『電磁理論の発展史』（1947年、河出書房）
5. 『科学史と科学』（1948年、扶桑書房）
6. 『物理学史』（1949年、朝倉書店）
7. 『アラビア科学の話』（1965年、岩波新書、復刊1991年）

多くの著作の中で科学の発展を解説し、科学者の考えを紹介することに努めました。

翻訳と共著

さらに、彼はジョン・チンダルの『アルプスの氷河』やファラデーの作品の翻訳など、多くの優れた書籍の翻訳を手掛けています。また、加えて共著や共編においても多数の業績があります。

家族

矢島の妻である矢島せい子は、共著として「家事と雑用」を出版。また、息子の矢島文夫もオリエント学者として知られています。

結語

矢島祐利は日本の科学史における重要な人物であり、彼の尽力によって日本国内外の科学に対する理解が深まりました。彼が生涯を通じて行った研究と著作は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索